新連載小説

瀬戸内寂聴「死に支度」

あと一ヵ月ばかりで九十一歳になる小説家の「私」。目を覚ますと、長年仕事から家のことまで手助けしてくれていた森はるみが、板敷の床に正座していた。「お話がございます」――。職業作家になって六十年、「私」に訪れた決意の時。瀬戸内寂聴「死に支度」、連載開始です。


迸る新しい才能!

藤野可織「8月の8つの短篇」

「私、ものすごく頭がいいの」女子高生のトランジは、死を引き寄せる名探偵。彼女が転校してきてから、ピエタの周りでは人が次々死んでいく――。女子高生二人の殺伐とした日常を描いた「ピエタとトランジ」をはじめ、まがい物の人魚の一生を見つめた「アイデンティティ」、一日ひとつだけ絶対に嘘をつかなくてはならない少女の悲劇「エイプリル・フール」など、8篇のダークなファンタジーで構成された「8月の8つの短篇」。最注目作家・藤野可織の新境地です。


好評企画第二弾

特集「個人的な詩集」

六人の編者が独自のテーマに沿って、数篇の詩を選び作り上げたアンソロジー「個人的な詩集」鹿島田真希「トリストそしてテロリスト」、諏訪哲史「『遠い場所』の詩」、津島佑子「人間の歌声」、野崎歓「動物詩集」、穂村弘「不可能の恋人たち」、三木卓「感覚の熱度」。編者による解説とともに、古今東西の名詩をお楽しみください。


短篇 古谷利裕「グリーンスリーブス・レッドシューズ」

帽子屋で働く姉は、週末が近づくと自分の手足がとても遠くに感じられるという。てっぺんのとんがった不思議な形のニット帽をかぶった彼は、娘がいるという設定で、よく娘の話をする。さっき階段で彼とすれ違った猫は、むこう側の世界では獣たちの一頭だったこともあり、もう少しでそれを思い出しそうになる――。現実世界が、静かに美しく揺らぎはじめる詩的短篇小説、古谷利裕「グリーンスリーブス・レッドシューズ」。必読です。


安藤礼二の連作評論は第六回

大江健三郎の連載ついに最終回

安藤礼二の連作評論第六回は「折口信夫の天皇」。昭和天皇の即位とともに形成された折口の「大嘗祭の本義」とは?

大江健三郎「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」はついに最終回。過去の対立を乗り越えた長江とアカリは、アカリ作曲・真木選曲のCD『森のフシギの音楽』を森の中で聴くことになり――。


〈新連載小説〉

死に支度  瀬戸内寂聴

〈短篇集〉

8月の8つの短篇  藤野可織

ピエタとトランジ/アイデンティティ/今日の心霊/エイプリル・フール/逃げろ!/ホームパーティーはこれから/ハイパーリアリズム点描画派の挑戦/ある遅読症患者の手記

〈特集 個人的な詩集〉

トリストそしてテロリスト  鹿島田真希

「遠い場所」の詩  諏訪哲史

人間の歌声  津島佑子

動物詩集  野崎 歓

不可能の恋人たち  穂村 弘

感覚の熱度  三木 卓

〈創作〉

グリーンスリーブス・レッドシューズ  古谷利裕

〈連作評論〉〔6〕

折口信夫の天皇  安藤礼二

〈連載小説〉

晩年様式集 最終回  大江健三郎

存在しない小説〔5〕  いとうせいこう

パノララ〔6〕  柴崎友香

寂しい丘で狩りをする〔7〕  辻原 登

屋根屋〔10〕  村田喜代子

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔18〕  李 恢成

夜は終わらない〔22〕  星野智幸

〈連載評論〉

皇后考〔11〕  原 武史

〈世界史〉の哲学〔53〕  大澤真幸

〈連載〉

創作の極意と掟〔8〕  筒井康隆

現代短歌ノート〔41〕  穂村 弘

映画時評〔56〕  蓮實重彦

〈随筆〉

人間対コンピュータ  諏訪部浩一

「打ち開けた地方」への旅  四元康祐

東の国から来るものは  古市真由美

宿命論者であるシチリア人さえも  島村菜津

〈私のベスト3〉

具体嗜好という病  平野暁人

わが戦友、スニーカー  権 徹

足りないもの  新庄 耕

〈書評〉

人間と小説の浄土(『聖痕』筒井康隆)  町田 康

耳を澄まして祈る(『いつも彼らはどこかに』小川洋子)  澤西祐典

古川日出男が脳内で朗読ギグを敢行します(『南無ロックンロール二十一部経』古川日出男)  福永 信

答えを告げない、開かれた口(『□』阿部和重)  今村友紀

〈創作合評〉

吉増剛造+中条省平+長野まゆみ

「Re:依田氏からの依頼」平野啓一郎(新潮2013年7月号)

「猫の目犬の鼻」丹下健太(群像2013年7月号)

「LIFE」松波太郎(群像2013年7月号)