難病との闘いを描く長篇

笙野頼子「未闘病記」(前篇)

20代デビュー後持ち込み10年、論争積年の3冠ホルダー、大学院教授にして不屈の純文学作家、そんな「私」をある日ふいに襲った“難病”。十万人に何人かの予想困難な特定疾患「膠原病」であると判明した著者。その病名が付くまでの苦心の日々、起き上がることもままならなかったあの日、そして始まる治療……。全てを赤裸々に描く「未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の」(前篇)笙野頼子による闘いの記録です。


注目の新鋭による中篇 山内マリコ「悪夢じゃなかった?」

「女性専用車両にわざわざ乗るのって、なんでみんなババアなの?」平然と恋人に疑問を投げかける27歳の澤村裕司は、ある朝目覚めたら、一人の女になっていた。息子だと信じてもらえず母から家を追い出され、とにかく今日をサバイヴせねばと、女物の靴や下着や服を求め新宿ルミネに飛び込むが――!? 注目の若手作家・山内マリコによる中篇「悪夢じゃなかった?」、新しい変身譚です。


連作第7回

町田 康「ホサナ」

舵木禱子の願いを聞き入れ多数の犬を自宅に受け入れた結果、家も生活もめちゃくちゃにされた私。疲弊のあまり汚らしい岩のりのようなものになっていたが、光り輝く草子は、犬がすべて従順になれば問題は解決するだろうと言う。彼女は海浜で犬たちを「導き」始め――。町田康の連作「ホサナ」、必読です。


連作批評第4回 佐々木 敦「「小説」の上演」(上)

柄谷行人の議論を基軸に「新しい小説」の可能性を探る、佐々木敦の連作批評「新しい小説のために」。第4回「「小説」の上演」(上)では演劇に着目。平田オリザや岡田利規を取り上げつつ、「演劇的な小説」と「小説的な演劇」を考えます。


『創作の極意と掟』刊行記念インタビュー 「筒井康隆の作り方」

創作歴60年の筒井康隆が、満を持して執筆した“小説作法本”、『創作の極意と掟』。刊行を記念し、中条省平を聞き手にインタビューを行いました。「凄味」「揺蕩」「省略」「薬物」……、いくつもの項目でもって構成された本書で、筒井康隆が最も書きたかったこととは? ヘミングウェイへの思いとは? そしてデビューに至るまでの読書遍歴は? 「筒井康隆の作り方」、創作入門のインタビューです。


〈創作〉

未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の(前篇)  笙野頼子

〈中篇〉

悪夢じゃなかった?  山内マリコ

〈連作小説〉

ホサナ〔7〕  町田 康

〈インタビュー〉

筒井康隆の作り方  筒井康隆  聞き手・中条省平

〈連作批評〉〔4〕

「小説」の上演(上)  佐々木 敦

〈連載小説〉

ビビビ・ビ・バップ〔4〕  奥泉 光

時穴みみか〔7〕  藤野千夜

死に支度〔9〕  瀬戸内寂聴

パノララ〔13〕  柴崎友香

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔26〕  李 恢成

〈連載評論〉

鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔4〕  片山杜秀

皇后考〔19〕  原 武史

〈世界史〉の哲学〔60〕  大澤真幸

〈連載〉

現代短歌ノート〔49〕  穂村 弘

映画時評〔64〕  蓮實重彦

〈随筆〉

タナトスのラーメン――きじょっぱいということ  千葉雅也

祖父の自転車  山崎佳代子

悄然としてなお歌う、鬼門の歌を  木村友祐

コーランの落としもの  宮内悠介

〈私のベスト3〉

人間になった元天使  立木康介

件の教授は笛を手に  酉島伝法

訳して踊る、脳細胞  小川敏子

〈書評〉

「作法本」を読む作法(『創作の極意と掟』筒井康隆)本谷有希子

世界史殺人事件中盤(『〈世界史〉の哲学 東洋篇』大澤真幸)大澤信亮

遍在する顔のない「怒り」たち(『怒り上・下』吉田修一)仲俣暁生

世界は翻訳される(『翻訳教育』野崎 歓)山崎まどか

護符の文学(『「死」を前に書く、ということ 「生」の日ばかり』秋山 駿)若松英輔

彼女たちの戦略の書(『ポースケ』津村記久子)佐藤康智

〈創作合評〉

稲葉真弓+苅部 直+藤野可織

「たまもの」小池昌代(群像2014年3月号)

「赤いサリー」中上 紀(すばる2014年3月号)

「神の見えざる手」島田雅彦(文學界2014年3月号)