群像2011年1月号

芥川賞受賞後第1作!
磯﨑憲一郎「赤の他人の瓜二つ」

2009年に芥川賞を受賞した磯﨑憲一郎の小説がついに登場。工場で働くその男は、血の繋がりがないのに私にそっくりだった。青年の日々の労働は、チョコレートのめくるめく世界史へ接続する――。一挙掲載200枚をご堪能下さい!


多和田葉子待望の新連載小説
「雲をつかむ話」

「群像」では『変身のためのオピウム』以来10年ぶりとなる、多和田葉子の連載小説が始まります! 毎朝、雲日記をつける女性作家。たなびく雲を見つめていると、過去に出会った「犯人」たちを思い出す……雲に導かれる記憶の旅。


新連載評論苅部直
「安部公房を読む」

実験的、モダン、シュール……世界中に衝撃を与え続けた安部公房の作品を、気鋭の政治学者である苅部直はどう読み解くのか? 第1回のキーワードは「夢の不安」です。


大好評「戦後文学を読む」
第5弾

これまで取り上げた作家は野間宏、武田泰淳、椎名麟三、梅崎春生。大好評企画「戦後文学を読む」第5回は大岡昇平です。合評には奥泉光岡田利規青山七恵が登場! 中村光夫、本多秋五、三島由紀夫による1950年の創作合評とぜひ読み比べてみて下さい。佐藤友哉の連作小説は戦後文学をしばし離れ、史上最大の問題に直面。前作が創作合評に取り上げられて、罹った病の正体は――?


「世界を呑み込む文学」
津島佑子×沼野充義

キルギスや中国を取材し、大作『黄金の夢の歌』を書き下ろした津島佑子が、ロシア文学の研究者である沼野充義と語り合います。『黄金の夢の歌』は、「あなた」と呼ばれる女性が、キルギスの英雄叙事詩「マナス」に導かれるように中央アジアを旅する作品。未知なる地域「中央アジア」と、そこに根づく文学についての興味深い対談をぜひお読み下さい!


もくじ

〈新連載小説〉

雲をつかむ話〔1〕 多和田葉子

〈新連載評論〉

安部公房を読む〔1〕 苅部 直 〈創作〉

〈創作〉

赤の他人の瓜二つ  磯﨑憲一郎

〈対談〉

2117年、「階層化社会」日本と「不死」の行方 村上 龍×妙木浩之世界を呑み込む文学  津島佑子×沼野充義

〈特集〉

戦後文学を読む〔5〕大岡昇平

〈合評〉

「野火」「武蔵野夫人」    
奥泉 光×岡田利規×青山七恵

〈再録〉  第42回「創作合評」〈武蔵野夫人〉  中村光夫×本多秋五×三島由紀夫

〈小説〉  凶作合評(前編)  佐藤友哉

〈シンポジウム〉

海外文学最前線  ジョン・フリーマン(『GRANTA』)デボラ・トリースマン(『THE NEW YORKER』)他

〈連載小説〉

裂 最終回  花村萬月

燃える家〔3〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔11〕  山崎ナオコーラ

日本文学盛衰史 戦後文学篇〔14〕  高橋源一郎

未明の闘争〔15〕  保坂和志

〈連載評論〉

孤独の発明〔13〕  三浦雅士

村上春樹の短編を英語で読む〔17〕  加藤典洋

〈世界史〉の哲学〔23〕  大澤真幸東と西
――横光利一の旅愁〔30〕  関川夏央

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔7〕  伊井直行

現代短歌ノート〔10〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔22〕  秋山 駿

映画時評〔25〕  蓮實重彦

〈随筆〉

一枚の写真  津村節子

真面目をやめようかと  中村文則

滅亡からはじまる  安藤礼二

むしゃくしゃしてやった  窪 美澄

〈私のベスト3〉

子供のころ、嫌いだった遊び  村田沙耶香

おいしそうなたべものたち  朝吹真理子

オーソドックス銭湯ベスト3  戌井昭人

〈書評〉

太宰治の霊(『どつぼ超然』町田 康)  都甲幸治

思い出のかけら(『タイニーストーリーズ』山田詠美)  綿矢りさ

森と浦の重なる場所へ(『夜よりも大きい』小野正嗣)  鴻巣友季子

批評の食人鬼(カニバル)(『神的批評』大澤信亮)  武田将明

〈創作合評〉

藤沢 周+小池昌代+山城むつみ

「テンガロンズ」栗田有起(群像2010年12月号)

「いい女vs.いい女」木下古栗(群像2010年12月号)

「ノミの横ばい」戌井昭人(文學界2010年12月号)