群像2016年1月号

この15年を振り返る座談会「21世紀の暫定名著 一般書篇」

生物学・池田清彦、経済学・松原隆一郎、社会学・大澤真幸、精神医学・斎藤環ーー各分野を代表する四人が考える「21世紀の暫定名著」とは? 気鋭の批評家・大澤信亮による司会のもと21世紀の問題点が明らかになっていく。


「21世紀の暫定名著 日本文芸篇」

文芸評論の第一線で活躍する清水良典松浦寿輝富岡幸一郎佐々木敦の4人が、新鋭・佐藤康智とともにこの15年間を振り返る「21世紀の暫定名著 日本文芸篇」。20世紀との対比から見えてきた文学の位置とは果たして。


「21世紀の暫定名著 海外文芸篇」

翻訳文学の現在を問う「21世紀の暫定名著 海外文芸篇」では、沼野恭子野崎歓小野正嗣藤井光という、ロシア・フランス・英米文学のプロフェッショナルであり、翻訳家としての活動も著しい四人が登場。辛島デイヴィッドとともに世界の現状を辿った結果、文学の希望が見えてきた!?


野間文芸賞・新人賞決定! 長野まゆみ、滝口悠生、古川日出男が登場

長野まゆみ『冥途あり』が泉鏡花文学賞に続き、第68回野間文芸賞を受賞! 受賞記念対談「省略とポエジー 小説の終わりの時代の文学」では、三浦雅士が長野文学の詩的な鋭さを読みときます。

第37回野間文芸新人賞は滝口悠生『愛と人生』古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』の2作受賞! 

「男はつらいよ」を主題にした実験的かつユーモラスな小説『愛と人生』を中心に、曖昧であるがゆえに面白い記憶や語りについて、選考委員・小川洋子滝口悠生が語り合う対談「過去の持ち歩き方」、必読です。

対談「全身で書く小説」では、古川日出男が選考委員・保坂和志『女たち三百人の裏切りの書』を読み直し考えます。紫式部の怨霊が語る本ものの宇治十帖ーー、全身で書き、全身で読む小説の秘密とは?


創作 牧田真有子 佐飛通俊

顔も知らない同僚から突然電話が掛かってきた。「元夫にプレゼントしたものを、取り返して欲しいんです」ーー。美しいもの、好きなものへのこだわりを抱える人々を丹念に描く、牧田真有子「絵姿女房への挨拶」

佐飛通俊「最初の人」は不思議な味わいの短篇。鄙びた温泉旅館に集まったのはフリーの記者と陰のある老夫婦、大学の異端児、若い巡査、そして宝石強盗。強盗が旅館の娘に銃を突きつけたその瞬間……!?


もくじ

〈座談会特集〉

「21世紀の暫定名著」

一般書篇  池田清彦 松原隆一郎 大澤真幸 斎藤 環 進行:大澤信亮

日本文芸篇  清水良典 松浦寿輝 富岡幸一郎 佐々木 敦 進行:佐藤康智

海外文芸篇  沼野恭子 野崎 歓 小野正嗣 藤井 光 進行:辛島デイヴィッド

〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉

第68回野間文芸賞受賞作

「冥途あり」  長野まゆみ

受賞の言葉/選評(奥泉 光 佐伯一麦 高橋源一郎 多和田葉子 町田 康)

第38回野間文芸新人賞受賞作

「愛と人生」  滝口悠生

「女たち三百人の裏切りの書」  古川日出男

受賞の言葉/選評(小川洋子 島田雅彦 保坂和志 星野智幸 松浦理英子)

〈記念対談〉

省略とポエジー 小説の終わりの時代の文学  長野まゆみ 聞き手・三浦雅士

過去の持ち歩き方  小川洋子×滝口悠生

全身で書く小説  保坂和志×古川日出男

〈連作〉

なぜなの、あたしのかみさま(完結)  川上弘美

ホサナ(13)  町田 康

〈創作〉

絵姿女房への挨拶  牧田真有子

最初の人  佐飛通俊

〈特別寄稿〉

小さな女の子のいっぱいになった膀胱について  金井美恵子

〈連載小説〉

オライオン飛行〔11〕  髙樹のぶ子

〈連作評論〉

美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって〔3〕 熊野純彦

鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔23〕  片山杜秀

〈世界史〉の哲学〔78〕  大澤真幸

〈連載〉

モンテーニュの書斎〔4〕  保苅瑞穂

現代短歌ノート〔69〕  穂村 弘

〈随筆〉

半幽霊の読書術  津野海太郎

五十年前のこと  泉 典子

謎のアルバイト  信田さよ子

良心の無数の粒立ち  柴山桂太

〈私のベスト3〉

最近の関心ごと・感心ごと  八重樫克彦

週末の楽しみ  田中正人

唯一の山  竹内洋岳

〈書評〉

三島のよろめき(『憂国者たち』三輪太郎)苅部 直

魔法瓶の湯気(『わかれ』瀬戸内寂聴)小池昌代

sympathyの彼岸(『あこがれ』川上未映子)鴻巣友季子

〈創作合評〉

春日武彦+清水良典+沼野充義

「死んでいない者」滝口悠生(文學界2015年12月号)

「日暮れの声」水原 涼(文學界2015年12月号)

「異郷の友人」上田岳弘(新潮2015年12月号)