群像2016年6月号

群像新人文学賞発表!

崔 実「ジニのパズル」

第59回群像新人文学賞が決定いたしました。

彼女が立ち向かうべき相手は誰だったのか――。在日韓国人として生まれ、朝鮮学校に通い始めた少女の、孤独な戦いと革命の記録。全選考委員が認めた新しい才能。圧倒的な迫力で描く衝撃のデビュー作、崔 実「ジニのパズル」


片岡義男「短篇小説をめぐる3つの短篇」

小説はいかにして誕生するのか? その瞬間を軽妙な会話とともに描く、魅惑的な「小説の小説」3つをお送りします。片岡義男「短篇小説をめぐる3つの短篇」

極めて平凡な場面から短篇を始めるにはどうすればいいのか? 美しい女性がバスに乗るシーンから、作家は友人たちと小説のすじを考える。「金曜日の幸せなグラッパ」

ひとりの女性が不思議な死に方をした――。友人たちが推理する、彼女の最後の行動は? 「ひょっとして怖い話?」

ほとんど初対面の女性に、結婚式のエスコートを頼まれたなら……? 恋の予感を楽しみながら京都を歩く。「スリープタイト」


「折口信夫」に続く意欲的な連作評論スタート!

安藤礼二「大拙」

『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞をダブル受賞した安藤礼二による、意欲的な新連載「大拙」がスタート! 鈴木大拙とは一体何者だったのか。その思想と人物を新たな視線で解き明かす。


対談「人類の遠い未来を描く」

川上弘美×池田清彦

川上弘美が遠い遠い未来の地球と人類を描いた長篇、『大きな鳥にさらわれないよう』。その刊行を記念して、生物学者の池田清彦と対談を行いました。さまざまな問題が多発するいま、予想される私たちのこれからの姿とは? 対談「人類の遠い未来を描く」


もくじ

〈第59回群像新人文学賞発表〉

〈当選作〉

ジニのパズル  崔 実

受賞のことば

選評  青山七恵 高橋源一郎 多和田葉子 辻原 登 野崎 歓

〈創作〉

短篇小説をめぐる3つの短篇  片岡義男

金曜日の幸せなグラッパ

ひょっとして怖い話?

スリープ・タイト

〈新連作評論〉

大拙  安藤礼二

〈対談〉

人類の遠い未来を描く  川上弘美×池田清彦

〈連載〉

いのち〔3〕  瀬戸内寂聴

鳥獣戯画〔5〕  磯﨑憲一郎

コンテクスト・オブ・ザ・デッド〔5〕  羽田圭介

〈連載評論〉

新・私小説論〔6〕  佐々木 敦

美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって〔8〕 熊野純彦

鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔27〕  片山杜秀

〈連載〉

モンテーニュの書斎〔8〕  保苅瑞穂

現代短歌ノート〔74〕  穂村 弘

〈随筆〉

ガンジス源流、息子の霊に出逢う  原 一男

どこからか「きのこ」が降りてくる!  飯沢耕太郎

国語をめぐる冒険「風編」  倉本美津留

友人の友人はCEO  山下博司

〈私のベスト3〉

翻訳向きの鉄道路線  藤井 光

27年越しの宝物  今泉健司

サービスを楽しむための3つの劇  原 辰徳

〈書評〉

その荷は私たちに託された(『半減期を祝って』津島佑子)木村朗子

聖者の悲劇(『殉教者』加賀乙彦)若松英輔

その融通無礙・あえて四文字熟語で(『と、彼女は言った』片岡義男)中島京子

“天才”の恋愛作法(『マチネの終わりに』平野啓一郎)阿部公彦

〈創作合評〉

吉村萬壱+苅部 直+福嶋亮大

「月刊「小説」」松波太郎(文藝2016年夏号)

「チャンピオン」水原 涼(文學界2016年5月号)

「虹のかかる行町」日和聡子(新潮2016年5月号)