群像2017年5月号

新連載

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」

丕出子(ひでこ)さんが働く「いちば食堂」に、今日も阿見さんはあらわれる。名前が分かっても距離が縮まるわけでもない、このままならなさ──。

堀江敏幸待望の新連載「二月のつぎに七月が」


対談

松浦寿輝×大澤真幸「「近世」への三つの球」

『〈世界史〉の哲学 近世篇』発売を記念した特別対談! 松浦寿輝が三つのキーワード──「オランダ」「バロック」「ルソー」──を手がかりに、大澤真幸の思考のダイナミズムに迫る。対談「「近世」への三つの球」


評論

清水良典「自画像と「父」なるもの──村上春樹『騎士団長殺し』論」

村上春樹7年ぶりの長篇小説『騎士団長殺し』。話題の書を、村上と「父」の関係をを切り口に、清水良典が読み解く。評論「自画像と「父」なるもの──村上春樹『騎士団長殺し』論」


追悼 林京子

2017年2月19日、惜しまれつつ逝去した林京子。「祭りの場」をはじめ、数々の原爆文学の傑作を発表し続けた作家の文学と生き様を、生前親交のあった加賀乙彦、三木卓、陣野俊史、平野啓一郎の4人が振り返る。「追悼 林 京子」


創作

海猫沢めろん「キャッチャー・イン・ザ・トゥルース」

太田靖久「リバーサイド」

あれから6年──白鳥神威の前に現れた赤ん坊はいかに育ったか? 「キッズ・ファイアー・ドットコム」待望の続篇。海猫沢めろん「キャッチャー・イン・ザ・トゥルース」

「大変、ミノルが、やばい、殺しちゃった」──川沿いの町、愛憎渦巻くかつての幼なじみたちの今を描く、太田靖久の力作中篇「リバーサイド」


もくじ

〈新連載〉

二月のつぎに七月が    堀江敏幸

〈対談〉

「近世」への三つの球  

           松浦寿輝×大澤真幸

〈評論〉

自画像と「父」なるもの

   ──村上春樹『騎士団長殺し』

                清水良典

〈追悼 林 京子〉

  加賀乙彦 三木卓 陣野俊史 平野啓一郎

〈創作〉

キャッチャー・イン・ザ・トゥルース

              海猫沢めろん

〈創作〉

リバーサイド   太田靖久

〈連載〉

地球にちりばめられて〔6〕  多和田葉子

九十九歳になった私〔8〕  橋本 治

山海記〔10〕  佐伯一麦

鳥獣戯画〔15〕  磯﨑憲一郎

〈連載評論〉

たましいを旅するひと──河合隼雄〔4〕 若松英輔

言語の政治学〔10〕  三浦雅士

新・私小説論〔14〕  佐々木 敦

〈世界史〉の哲学〔91〕  大澤真幸

〈連載〉

現代短歌ノート〔84〕  穂村 弘

〈随筆〉

昭和の母  梯 久美子

潰し屋  中島たい子

ぼくは長いあいだ、本を書かなかった  東 浩紀

届かなかった手紙たち  こだま

〈私のベスト3

方言で語りかけてくる即席麵  大山即席斎

魅惑の夜間航路  清水浩史

純喫茶に夢中な3つの理由  難波里奈

〈書評〉

時間の彼岸(『ゆらぐ玉の緒』古井由吉)島田雅彦

恍惚のアイロニー(『名誉と恍惚』松浦寿輝)苅部 直

虚実の狭間での妙味、同工異曲の美学(『芝公園六角堂跡』西村賢太)木村友彦

「ざけんな!」と叫ばせろ(『生成不純文学』木下古栗)鴻巣友季子

〈創作合評〉

辻原 登+中条省平+谷崎由依

「私、高校には行かない。」青木淳吾

             (文學界2017年4月号)

「真ん中の子どもたち」温 又柔

             (すばる2017年4月号)

「劇場」又吉直樹(新潮2017年4月号)