群像2018年10月号

歳時創作シリーズ 漆 季・憶 Ki-Oku 7

山下澄人「水始涸」 川上弘美「蟋蟀在戸」 藤野千夜「霎時施」

空は澄みわたり、月夜に明るみを見る。深みゆく秋の際に至り、時の巡りを肌で感じる。作家の想像力で繫ぐひととせ――二十四節気七十二候――の季節の記憶。一年をとおした好評読み切り掌篇大特集。第7弾は山下澄人「水始涸」(みずはじめてかるる)、川上弘美「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり)、藤野千夜「霎時施」(こさめときどきふる)


創作 小山田浩子「ヒヨドリ」

台所で弁当を作っていると夫が「ヒナがいる!」と叫んだ。「ヒナ?」「うちのベランダに、ヒナがいる!」夫は慌てたように立ち上がる――。濃密な文章で綴る夫婦の日常に潜む現実と幻想のあわい。小山田浩子の創作「ヒヨドリ」(50枚)


創作 紗倉まな「春、死なん」

七十歳の身体から、傍目には既に抜け落ちたと思われている性欲。それが枯渇どころか、実際には持て余すようにしている――。高齢者の性をえがく鮮烈な文芸誌デビュー作。紗倉まなの創作「春、死なん」(120枚)


新連続対談

富岡幸一郎×佐藤 優「「危機の時代」を読み解く Ⅰ」

社会システムが崩壊し、目に見えないものが〈世界〉を動かす今、我々はどう生き抜くのか。〈文学〉と〈神学〉の視点から現代を縦横に語り合う。富岡幸一郎×佐藤 優「「危機の時代」を読み解く Ⅰ」


映画評論

蓮實重彦「大震災で映画と出会った男 ―プロデューサー城戸四郎―」

一九二八年のモスクワの街に、日本人が大挙して現れる。歌舞伎の初海外公演がソ連邦の首都で行われる。そのなかに松竹の名プロデューサーがいた。蓮實重彦の評論「大震災で映画と出会った男 ―プロデューサー城戸四郎―」


もくじ

〈歳時創作シリーズ 漆〉季・憶 Ki-Oku

水始涸(みずはじめてかるる)  山下澄人

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)  川上弘美

霎時施(こさめときどきふる)  藤野千夜

〈創作50枚〉

ヒヨドリ  小山田浩子

〈創作120枚〉

春、死なん  紗倉まな

〈新連続対談〉

「危機の時代」を読み解くⅠ  富岡幸一郎×佐藤 優

〈映画評論〉

大震災で映画と出会った男

ープロデューサー城戸四郎ー  蓮實重彦   

〈連作〉

行方知れず  古井由吉

〈連載〉

その日まで〔3〕  瀬戸内寂聴

湘南夫人〔3〕  石原慎太郎

鉄の胡蝶は歳月に夢の記憶を彫るか〔3〕  保坂和志

帝国の黄昏〔5〕  花村萬月

御社のチャラ男〔6〕 絲山秋子

おおきな森〔10〕  古川日出男

人外(にんがい)〔11〕  松浦寿輝

二月のつぎに七月が〔18〕  堀江敏幸

山海記〔20〕  佐伯一麦

ブロークン・ブリテンに聞け〔8〕 ブレイディみかこ


レンマ学〔9〕  中沢新一

出雲神話論〔13〕  三浦佑之

人間とは何か                  ──フランス文学による感情教育──〔15〕中条省平

たましいを旅するひと──河合隼雄〔20〕 若松英輔

〈世界史〉の哲学〔108〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔101〕  穂村 弘

〈随筆〉

禁煙なる日常  青木淳悟

私もあなたも、どっか少数者  飯間浩明

近道は回り道  千木良悠子

ぷくぷくぷくが鳴らなくなった日  高橋久美子

引っ越しの夏、缶チューハイ  パリッコ

〈書評〉

SNSに居場所を求める人々(『静かに、ねぇ、静かに』本谷有希子)  瀧井朝世

グラマトロジーについて(『文字渦』円城塔)  佐々木敦

「ずれる人」のアメリカ紀行(『公園へ行かないか? 火曜日に』柴崎友香)  阿部公彦

二匹の魚を尊ぶ井伏論(『水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ』野崎歓)  佐藤康智

ブラック企業小説の旗手が描く最低最悪男(『サーラレーオ』新庄耕)  石井千湖

〈創作合評〉

安藤礼二×蜂飼 耳×小澤英実

「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」鴻池留衣(新潮2018年9月号)

「ウラミズモ奴隷選挙」笙野頼子(文藝2018年秋季号)