群像2019年1月号

新連載 多和田葉子「星に仄めかされて」

半地下で患者たちの皿を洗うムンンは、喋れないはずのSusanooという男の言葉を聞く。言語をめぐる旅が再び始まる。『地球にちりばめられて』第二章! 多和田葉子の新連載「星に仄めかされて」


『献灯使』全米図書賞翻訳文学部門受賞記念

アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に多和田葉子氏の「献灯使」(翻訳:マーガレット満谷/初出:「群像」2014年8月号)が選ばれた。受賞記念を記念して、阿部公彦「檻の中のライオン」、都甲幸治「死より詩を――多和田葉子の文章」、小澤英実「パフォームする言葉たち」を掲載!


特集 文学にできることを Ⅰ〈短篇創作〉

瀬戸内寂聴、笙野頼子、日和聡子、高橋弘希、小山田浩子

私たちは何処から来て何処へ行くのか。何事を感じ何事を思うのか。如何に読み如何に書くのか。今、できることは何か。新シリーズ「文学にできることを」第一弾、短篇創作特集。瀬戸内寂聴「命日」、笙野頼子「返信を、待っていた」、日和聡子「鏡」、高橋弘希「21ピース 日曜日の人々(サンデー・ピープル)〈付録と補遺〉」、小山田浩子「夜神楽の子供」


野間文芸賞・野間文芸新人賞 受賞記念企画

橋本治 金子 薫×高橋源一郎 乗代雄介×保坂和志

第71回野間文芸賞を受賞した橋本治による随筆「『草薙の剣』――六人の主人公と七番目の男」。第40回野間文芸新人賞を受賞した金子薫乗代雄介。金子の小説の秘密を高橋源一郎が解き明かしていく対談「小説世界を作り出す架空の言葉たち」。一方、乗代は、対談「書かない者のまなざしを忘れて書くことはできない」保坂和志と語り合う。


中沢新一「レンマ学」第一部完結

「大乗仏教に望みあり」と記した南方熊楠の試みを引き継ぎ、レンマ的知性を規定に据えた「学」の形成を目指した中沢新一の「レンマ学」の第一部が完結!


もくじ

〈新連載〉

星に仄めかされて  多和田葉子

〈『献灯使』全米図書賞翻訳文学部門受賞記念〉

檻の中のライオン  阿部公彦

死より詩を――多和田葉子の文章  都甲幸治

パフォームする言葉たち  小澤英実

〈特集 文学にできることを Ⅰ〈短篇創作〉〉

命日  瀬戸内寂聴

返信を、待っていた  笙野頼子

鏡  日和聡子

21ピース 日曜日の人々(サンデー・ピープル)〈付録と補遺〉 高橋弘希

夜神楽の子供  小山田浩子

〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉

第71回野間文芸賞受賞作
「草薙の剣」  橋本 治

受賞のことば/選評(奥泉 光 佐伯一麦 多和田葉子 町田 康 三浦雅士)

第40回野間文芸新人賞受賞作
「双子は驢馬に跨がって」  金子 薫
「本物の読書家」  乗代雄介 

受賞のことば/選評(小川洋子 島田雅彦 高橋源一郎 長嶋 有 保坂和志 星野智幸)
〈野間文芸賞・野間文芸新人賞 受賞記念企画〉

随筆『草薙の剣』――六人の主人公と七番目の男  橋本 治

対談 小説世界をつくり出す架空の言葉たち  金子 薫×高橋源一郎

対談 書かない者のまなざしを忘れて書くことはできない  乗代雄介×保坂和志

〈連載〉

レンマ学〔12〕第一部完結  中沢新一

湘南夫人〔6〕  石原慎太郎

鉄の胡蝶は歳月に夢は記憶の彫るか〔6〕  保坂和志

御社のチャラ男〔9〕   絲山秋子

帝国の黄昏〔7〕  花村萬月

おおきな森〔13〕   古川日出男

二月のつぎに七月が(19)  堀江敏幸

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain(11)ブレイディみかこ

全体論と有限 ─ひとつの「小説」論─(3)   佐々木 敦

出雲神話論(16)  三浦佑之

人間とは何か──フランス文学による感情教育──(18)   中条省平

たましいを旅するひと――河合隼雄(22)  若松英輔

〈世界史〉の哲学(111)  大澤真幸

現代短歌ノート(104)  穂村 弘

〈随筆〉   

私と親しかった死刑囚  加賀乙彦

モノがモノを作らせる。  岡﨑乾二郎

高度成長期のビルの大胆さ  三浦 展

声を忘れるとき、言葉を消すとき  牧田真有子

〈書評〉

ひとつの端緒――黒井千次『流砂』をめぐって(『流砂』黒井千次)  三浦雅士

人生の果てのコーラス(『エリザベスの友達』村田喜代子)  小池昌代

破滅を嗅ぎとる兎たち(『前世は兎』吉村萬壱)  伊藤氏貴

行って帰ってきた男(『前立腺歌日記』四元康祐)  栩木伸明

身ひとつでフロアに飛び込め(『とても短い長い歳月』古川日出男)  倉本さおり

〈創作合評〉 

大竹昭子×清水良典×岩川ありさ

「図書室」岸 政彦

「戦場のレビヤタン」砂川文次

「ニムロッド」上田岳弘