
群像2019年9月号(8月7日発売)
定価(税込):1000円
中篇一挙 木村紅美「夜の底の兎」 | |
事実婚の夫と若い女との間に子どもが出来た。桐子は少女時代の夏に帰省した田舎にある蔵の中で遊んだ女の子の夢を、繰り返し見るようになった。木村紅美の中篇一挙掲載「夜の底の兎」 |
論考 高橋源一郎「彼は私に人が死ぬということがどういうことであるかを教えてくれた」 | |
文芸評論家・加藤典洋氏の逝去から三ヵ月、思い出されるのは彼の「声」だった――。高橋源一郎の論考「彼は私に人が死ぬということがどういうことであるかを教えてくれた」 アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に多和田葉子氏の「献灯使」(翻訳:マーガレット満谷/初出:「群像」2014年8月号)が選ばれた。受賞記念を記念して、阿部公彦「檻の中のライオン」、都甲幸治「死より詩を――多和田葉子の文章」、小澤英実「パフォームする言葉たち」を掲載! |
評論 田中和生「叙事詩としての近代小説――『こころ』『人間失格』『ノルウェイの森』の系譜」 特集 文学にできることを Ⅰ〈短篇創作〉
瀬戸内寂聴、笙野頼子、日和聡子、高橋弘希、小山田浩子 | |
「読者に選ばれた」ことによって織り上げられる、もう一つの文学史。なぜ、名作は読み継がれるのか。田中和生の評論160枚「叙事詩としての近代小説――『こころ』『人間失格』『ノルウェイの森』の系譜」 私たちは何処から来て何処へ行くのか。何事を感じ何事を思うのか。如何に読み如何に書くのか。今、できることは何か。新シリーズ「文学にできることを」第一弾、短篇創作特集。瀬戸内寂聴「遺言」、笙野頼子「返信を、待っていた」、日和聡子「鏡」、高橋弘希「21ピース 日曜日の人々(サンデー・ピープル)〈付録と補遺〉」、小山田浩子「夜神楽の子供」
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創作 沼田真佑「早春」 間宮緑「語り手たち」 野間文芸賞・野間文芸新人賞 受賞記念企画
随筆・橋本治 対談・金子 薫×高橋源一郎、乗代雄介×保坂和志 | |
繊細な筆致で人間の内面を描き出す、沼田真佑による短篇「早春」。物語ることを放棄して行方をくらました語り手はどこへ消えたのか、間宮緑の創作「語り手たち」 第71回野間文芸賞を受賞した橋本治による随筆「『草薙の剣』――六人の主人公と七番目の男」。第40回野間文芸新人賞を受賞した金子薫と乗代雄介。金子の小説の秘密を高橋源一郎が解き明かしていく対談「小説世界を作り出す架空の言葉たち」。一方、乗代は、対談「書かない者のまなざしを忘れて書くことはできない」で保坂和志と語り合う。
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特別随筆 保阪正康「新しい時代の「答案」は誰が書くのか」 多和田葉子の新連載「星に仄めかされて」 | |
「平成の時代精神」は新時代にどう受け継がれるのか――。現代史研究の第一人者の胸に去来する「令和」への思いとは。保阪正康の特別随筆「新しい時代の「答案」は誰が書くのか」 |

〈中篇一挙〉夜の底の兎 木村紅美〈論考〉彼は私に人が死ぬということがどういうことであるかを教えてくれた 高橋源一郎〈評論〉「叙事詩としての近代小説――『こころ』『人間失格』『ノルウェイの森』の系譜」 田中和生〈創作〉早春 沼田真佑語り手たち 間宮 緑〈連載完結〉出雲神話論〔24〕 三浦佑之〈連作〉会いに行って――静流藤娘紀行〔3〕 笙野頼子〈連載〉その日まで〔12〕 瀬戸内寂聴 星に仄めかされて〔9〕 多和田葉子 チーム・オベリベリ〔10〕 乃南アサ 鉄の胡蝶は歳月は記憶に夢は彫るか〔14〕 保坂和志 帝国の黄昏〔14〕 花村萬月 おおきな森〔21〕 古川日出男 二月のつぎに七月が〔22〕 堀江敏幸 ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔19〕ブレイディみかこ |
愚行の賦〔2〕 四方田犬彦 全体論と有限 ーひとつの「小説」論ー〔10〕 佐々木 敦 人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔26〕 中条省平 〈世界史〉の哲学〔118〕 大澤真幸 現代短歌ノート〔112〕 穂村 弘 〈随筆〉翻訳(という)家の窓から見える風景 木原善彦 一千万円分の不幸 くどうれいん 墓石と鉄塔 岩根 愛 「遺物」としての名著 秋満吉彦 貴女のためなら何でもするぞとまたしても口にしそうだ 蓮實重彦 〈書評〉女たちの根源的欲望の行方(『夏物語』川上未映子) 亀山郁夫 理解する力の効用(『ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ) 石戸 諭 一人暮らしも楽じゃない(『待ち遠しい』柴崎友香) 野崎 歓 テーマパークに宿る崇高の記憶(『テーマパーク化する地球』東 浩紀) 宮﨑裕助 〈創作合評〉 藤野千夜×大澤 聡×矢野利裕 「如何様(イカサマ)」高山羽根子(「小説トリッパー」2019年夏号) 「流卵」吉村萬壱(「文藝」2019年秋季号) |