群像2020年4月号

一挙掲載 

田中慎弥「完全犯罪の恋」

その若い女は、新宿で私を待ち受けていた。幾度か会って話をするうちに様々な思いが交錯し、物語は現在と三十年前を往還する。田中慎弥の一挙掲載「完全犯罪の恋」


特集 震災後の世界 9 

古川日出男 木村朗子 山本昭宏 與那覇潤 石戸諭

特集「震災後の世界 9」では、古川日出男による創作「福島のちいさな森」を掲載、評論は、木村朗子「震災後文学の現在地」、山本昭宏「野坂昭如、カム・アゲイン」、與那覇潤「歴史がこれ以上続くのではないとしたら 加藤典洋の「震災後」論」を掲載、そして石戸諭によるノンフィクション「2011-2021 視えない線の上で」第二回も掲載。


新連載続々 武田砂鉄 星野概念 石井ゆかり

平成とはなんだったのかを問う、武田砂鉄の「「近過去」としての平成」、ものごとをゆっくり考える大人のための処方箋、星野概念「「ヤッター」の雰囲気」、異色の占い師による「象徴の世界」、石井ゆかりの「星占い的思考」の三つの連載がスタート!


短期集中連載

尾崎真理子「ギ―兄さんとは誰か 大江健三郎と柳田国男」

大江作品に登場し続ける「ギー」とはいったい誰だろう。何を象徴し、託されているのだろう。まったく新しい「日本の作家」としての大江健三郎の相貌が浮かび上がる。尾崎真理子による短期集中連載「ギ―兄さんとは誰か 大江健三郎と柳田国男」


創作

砂川文次「臆病な都市」 松原俊太郎「ほんとうのこといって」

新鋭による力作を二作掲載! 現代の病巣を鋭くえぐる気鋭の飛翔作、砂川文次「臆病な都市」。『山山』で岸田國士戯曲賞を受賞した演劇界の明日を担う劇作家による、文芸誌初小説! 松原俊太郎「ほんとうのこといって」。

もくじ

〈一挙掲載〉

完全犯罪の恋  田中慎弥

〈特集〉

「震災後の世界 9」

福島のちいさな森  古川日出男

震災後文学の現在地 木村朗子

野坂昭如、カム・アゲイン 山本昭宏

歴史がこれ以上続くのではないとしたら――加藤典洋の「震災後論」  與那覇潤

2011―2021 視えない線の上で〔2〕   石戸諭

〈短期集中連載〉

ギ―兄さんとは誰か――大江健三郎と柳田国男  尾崎真理子

〈新連載〉

「近過去」としての平成  武田砂鉄

「ヤッター」の雰囲気 星野概念

星占い的思考  石井ゆかり

〈創作〉

臆病な都市  砂川文次

ほんとうのこといって  松原俊太郎

〈論点〉

抗う言葉を分かち合う――芸術と批評の関係をめぐって――  柿木伸之 

ポン・ジュノ/『パラサイト』は纏えるか  宮田文久

〈短期集中ルポ〉

ガザ、西岸地区、アンマン――「国境なき医師団」を見に行く〔2〕 いとうせいこう

〈滞在記〉

文芸ピープル ブリテン諸島出版見聞録後篇  辛島デイヴィッド

〈連載〉

ゴッホの犬と耳とひまわり〔4〕  長野まゆみ

チーム・オベリベリ〔17〕  乃南アサ

鉄の胡蝶は夢は歳月は記憶に彫るか〔20〕  保坂和志

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔26〕  ブレイディみかこ

所有について〔2〕  鷲田清一

辺境図書館〔2〕  皆川博子

国家と批評〔3〕  大澤聡

LA・フード・ダイアリー〔7〕  三浦哲哉

〈世界史〉の哲学〔124〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔119〕  穂村 弘

私の文芸文庫〔4〕  水村美苗

極私的雑誌デザイン考〔3〕  川名潤

〈随筆〉

哀しい自慢とアルファロメオ  宮沢章夫

めんどくせえ  石橋毅史

協働で成り立つ小商いを  堀部篤史

〈書評〉

家族、夫婦、老境。そのイメージと実像(『春、死なん』紗倉まな)  瀧井朝世

災厄とエロティシズム(『卍どもえ』辻原登)  中条省平

狂句考殺しの身は決裁の(『月岡草飛の謎』松浦寿輝)  丹生谷貴志

〈創作合評〉

阿部公彦×小川公代×上田岳弘

「pray human」崔実(群像2020年3月号)

「首里の馬」高山羽根子(新潮2020年3月号)