
群像2020年5月号(4月7日発売)
1300円
創作 津村記久子「レコーダー定置網漁」 牧田真有子「使者の夜」 | |
疲れ果てた私は、休暇をもらっても録りだめたドラマを見るしかない。日常の中のささやかな希望を描いた、津村記久子の好短篇「レコーダー定置網漁」。「罪悪感のシェアっていうのはどうでしょうか」――牧田真有子の中篇「使者の夜」。 |
新連載 蓮實重彦「ショットとは何か」 藤原辰史「歴史の屑拾い」 | |
蓮實批評の特権的概念である「ショット」とは何か? 映画と世界をめぐる思考のはじまりを探究する巨大連載始動、蓮實重彦「ショットとは何か」。「打ち捨てられたもの」の知から始まる、歴史叙述の新たなる試み。藤原辰史「歴史の屑拾い」。 |
追悼 古井由吉 | |
個人の内面を徹底して見つめた作家・古井由吉が亡くなってから約二ヵ月。奥泉光、角田光代、黒井千次、中村文則、蓮實重彦、蜂飼耳、保坂和志、堀江敏幸、町田康、松浦寿輝、見田宗介、山城むつみ、吉増剛造による追悼文、富岡幸一郎による評論「古井由吉と現代世界 文学の衝撃力」を掲載。 [新連載続々]
所有について 鷲田清一
〈所有〉とは固有性と譲渡可能性のあいだにあるらしい。その薄暗がりのなかで、〈わたし〉は生まれた・・・・・・。「ほかならぬ自分のものなるがゆえに、意のままにできる」というのは、ある種の迷妄ではないのか?
ロック、ルソー以来、近代を通底する難題(アポリア)に挑む哲学者の、積年の思索の結晶化に読者は立ち会うことになる。
ガザ、西岸地区、アンマン――「国境なき医師団」を見に行く いとうせいこう
2019年11月、『国境なき医師団』の活動に密着すべくイスラエルからガザ地区に向かった著者が目にしたものとは――。アメリカとイランの緊張状態が続くなか、「世界の今」を届ける短期集中ルポルタージュ。
2011―2021 視えない線の上で 石戸諭
常に既視感があった。2011年3月11日からの出来事は、未来を先取りしていたのではないか――。気鋭のジャーナリストが真摯な視線で描き出す「震災後の世界」。
辺境図書館 皆川博子
この辺境図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている――人気連載が「群像」に転 |
インタビューズ 佐野元春「時代を切り拓いた都市の詩」(聞き手・文 石戸諭) | |
ロック界を牽引してきた孤高の詩人がデビュー40周年を機に、ダイアローグで自らの見つめ直す。佐野元春「時代を切り拓いた都市の詩」(聞き手・文 石戸諭) |
小特集 『おおきな森』 古川日出男インタビュー(聞き手 波戸岡景太) | |
唯一無二の作家・古川日出男が持てる力を出し切った超大作「おおきな森」。時空を越え、世界の殻を破った先に見えるものは何か。小説作法を語り尽くす。古川日出男インタビュー(聞き手 波戸岡景太)。そして波戸岡景太による評論「われは満洲のみやこに、けふも犬のごとく逍へり」。 |

〈創作〉〈新連載小説〉
ゴッホの犬と耳とひまわり 長野まゆみ
〈新年短篇特集〉
見るな 瀬戸内寂聴
焚書類聚 皆川博子
タンパク 高樹のぶ子
カズイスチカ 高橋源一郎
星を送る 高村 薫
漏斗と螺旋 山尾悠子
UFOとの対話 保坂和志
恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ 川上弘美
ぶつひと、ついにぶたにならず 小池昌代
わたし舟 多和田葉子
未の木 飛 浩隆
神xyの物語 町田 康
我が人生最悪の時 磯﨑憲一郎
M――「怨む御霊」考 古川日出男
猿を焼く 東山彰良
Green Haze 阿部和重
あら丼さん 長嶋 有
最後の恋 上田岳弘
クレペリン検査はクレペリン検査の夢を見る 松田青子
トーチカ 藤野可織
隕石 滝口悠生
猪垣 青山七恵
ほんのこども 町屋良平
目白ジャスミンティー 山田由梨
〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉
第72回野間文芸賞受賞作
「人外」 松浦寿輝
第41回野間文芸新人賞受賞作
「神前酔狂宴」 古谷田奈月
「デッドライン」 千葉雅也
受賞のことば/選評(小川洋子 島田雅彦 高橋源一郎 長嶋 有 保坂和志 星野智幸〈新連載小説〉
レコーダー定置網漁 津村記久子使者の夜 牧田真有子〈新連載〉ショットとは何か 蓮實重彦歴史の屑拾い 藤原辰史〈追悼 古井由吉〉奥泉光 角田光代 黒井千次 中村文則 蓮實重彦 蜂飼耳 保坂和志 堀江敏幸 町田康 松浦寿輝 見田宗介 山城むつみ 吉増剛造古井由吉と現代世界――文学の衝撃力 富岡幸一郎〈インタビューズ〉佐野元春「時代を切り拓いた都市の詩」(聞き手・文 石戸諭)〈特別対談〉つげ義春を読み直す 川上弘美×長嶋有〈小特集〉古川日出男「内側へ、内側へ、おおきな森のおくにあるもの」インタビュー(聞き手 波戸岡景太)われは満洲のみやこに、けふも犬のごとく逍へり 波戸岡景太〈論点〉人間と動物の「誘う・誘われる」関係 濱野ちひろジャック・デリダの「死後の生」――ポストヒューマンと不死の行方 宮﨑裕助〈短期集中ルポ〉ガザ、西岸地区、アンマン――「国境なき医師団」を見に行く〔3〕 いとうせいこう〈鼎談シリーズ〉徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術 第4回「無意識とセクシュアリティ」 松浦寿輝×沼野充義×田中純〈最終回〉〈世界史〉の哲学〔125〕 大澤真幸〈連載〉その日まで〔16〕 瀬戸内寂聴 ゴッホの犬と耳とひまわり〔5〕 長野まゆみ |
チーム・オベリベリ〔18〕 乃南アサ 鉄の胡蝶は歳月は記憶は夢の彫るか〔21〕 保坂和志 二月のつぎに七月が〔26〕 堀江敏幸 ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔27〕 ブレイディみかこ 「近過去」としての平成〔2〕 武田砂鉄 「ヤッター」の雰囲気〔2〕 星野概念 星占い的思考〔2〕 石井ゆかり 所有について〔3〕 鷲田清一 辺境図書館〔3〕 皆川博子 LA・フード・ダイアリー〔8〕 三浦哲哉 現代短歌ノート〔120〕 穂村 弘 私の文芸文庫〔5〕 熊野純彦 極私的雑誌デザイン考〔4〕 川名潤 〈随筆〉ガム工場は眠らない 青羊 犬と猫と、そのほかの種について 小椋彩 蠅を食む 野上志学 根無しの憂鬱 林道郎 遠野の本田健さん 山本浩貴 〈書評〉疎外はのりこえられたか(『政治的動物』石川義正) 中島一夫 二〇一〇年代は誰の声が聞こえてきたのか(『2010s』宇野維正、田中宗一郎) 矢野利裕 家父長制を殺しに来た(『ピエタとトランジ〈完全版〉』藤野可織) 山内マリコ 「在日」として、書かねばならない小説(『地上生活者 第6部最後の試み』李恢成) 金ヨンロン 〈創作合評〉亀山郁夫×安藤礼二×日和聡子 「臆病な都市」砂川文次(群像2020年4月号) 「ほんとうのこといって」松原俊太郎(群像2020年4月号) 「半睡」佐々木敦(新潮2020年4月号) |