【批評総特集 「論」の遠近法2021】山本貴光 乗代雄介 中井亜佐子 住本麻子 小澤英実 石川義正 石井ゆかり

1年ぶりの批評総特集、今年も様々な批評文が集まりました。山本貴光「認識と情緒のあいだで」は三島由紀夫賞受賞作の乗代雄介『旅する練習』論、その乗代雄介「掠れうる星たちの実験」は、サリンジャーと柳田國男についての批評。中井亜佐子「エドワード・サイード」はサイードをとりあげて批評そのものについて、住本麻子「傍観者とサバルタンの漫才」は富岡多惠子『波うつ土地』をめぐりフェミニズム理論について考察しています。小澤英実「淵に立つヒューマニズム」は本谷有希子『あなたにオススメの』(「群像」1月号掲載、6月末単行本刊行予定)を中心に本谷作品で描かれる人間性の行方を見すえます。石川義正「ヴァイオリニストと猫、あるいは人工妊娠中絶と寓話について」は生命倫理学における議論の陥穽を突き、石井ゆかり「「風の時代」の星占い的思考。」では「風の時代」とは何なのかを論じています。「いま」に対峙している批評の最前線を感じて下さい。

・巻頭一挙掲載
「あなたにオススメの」 本谷有希子
「推子のデフォルト」……〈等質〉になれない子を抱えたママ友の悩みは、推子にとって最高のコンテンツだった。
「マイイベント」……巨大台風が近づきつつある川沿いのマンションで、渇幸はわくわくを抑えきれない。
・読み切り
「こんにちは赤ちゃん」 小林エリカ

【創作】今村夏子 リービ英雄 早助よう子

サクランボの家に夫と犬と暮らす友加里は、近所の小学生タムのことが気になって仕方ない。(今村夏子「良夫婦」)

「自分の家」はどこにあるのだろう。西の果てで、もう一つの大陸の記憶が谺する。(リービ英雄「A child is born」)

都市に住まうゲリラは革命のために学習を続ける。幻想と哄笑の小説。(早助よう子「夢の設計者たち」)

・短期集中連作
「ケアの倫理とエンパワメント オスカー・ワイルドの越境するケア――三島由紀夫、多和田葉子の全人類的視点」 小川公代
・連載完結
「ショットとは何か」 蓮實重彦
・読み切り
「人間―でないもの」 樫村晴香

【第64回群像新人文学賞 優秀作】松永K三蔵

第64回群像新人文学賞は当選作が石沢麻依「貝に続く場所にて」島口大樹「鳥がぼくらは祈り、」、優秀作が松永K三蔵「カメオ」に決まりました。当選作2作、受賞の言葉、選評は先月号に掲載しています。優秀作のみ誌面の都合上、今月の掲載となりましたが、ぜひ合わせてお読み下さい。

本社からの命令で何としても期日までに倉庫を建てなければならないのに、犬を連れた隣地の男"カメオ"が立ちはだかる。不条理な可笑しみに彩られたデビュー作。

2020年のジョン・レノン
「1962年のハンバーガー」 片岡義男
「星の歌」 高橋久美子
「アミラル」 向井康介

『シンジケート〔新装版〕』刊行記念【対談】穂村 弘×最果タヒ【エッセイ】名久井直子

【野間文芸賞・野間文芸新人賞発表】

31年前の穂村弘さんのデビュー歌集『シンジケート』の[新装版]刊行を記念して、穂村さんに最果タヒさんと対談をしていただきました。凝りに凝った素敵な装丁(絵はヒグチユウコさん)になった過程は、名久井直子さんのエッセイにて。


【批評連作】安藤礼二 星野 太

【最終回】日和聡子×ヒグチユウコ

総特集とくくった読み切りだけでなく、安藤礼二さん「空海」星野太さん「食客論」の連作や、連載にもちろん、いたるところに「批評」は散りばめられています。日和聡子さんヒグチユウコさんによる豪華コラボ連載「硝子万華鏡」が最終回をむかえました。単行本化は来年の予定です、お楽しみに。

【論点】
「その警官、友人につき」 阿部大樹
「私たちは行列する——2020年アメリカ大統領選挙を見つめて」 シェリーめぐみ
「本当なのは一瞬だった」 ジョン・フリーマン 小澤身和子訳
「日本の「自粛警察」とファシズム——ドイツとの比較から考える」 田野大輔
「コミュニケーション的暴力としての、意味の占有」 三木那由他

〈創作〉

良夫婦  今村夏子 

A child is born  リービ英雄

夢の設計者たち  早助よう子

〈第64回群像新人文学賞 優秀作〉

カメオ  松永K三蔵

「読む」ことで巡り会いながら、通り過ぎたものと再び向き合うために――自らの生涯をたどり直す。
【創作】
「夜中目が覚めた時に必ず考える」 川上弘美
「桃息吐息」 いしいしんじ
【震災後の世界10先行掲載】
「国家・ゼロエフ・浄土」 古川日出男
【小特集 第三の新人】
・創作 「あかるい場所」 江國香織
・エッセイ 「山の上の家のまわり」 島田潤一郎
・批評 「日常の再発見に向けて――「第三の新人」を読むために」 山本貴光
・アンケート 「いま読みたい第三の新人作品」 石倉真帆/石田千/大前粟生/小川哲/河﨑秋子/木村紅美/郡司ベギオ幸夫/高橋弘希/高山羽根子/乗代雄介/三国美千子/水原涼
【チェルフィッチュ群像公演】
・創作 「消しゴム式」 チェルフィッチュ/岡田利規
・解説 「「消しゴム式」への道」 岡田利規
・エッセイ 「消しゴムを最後まで使い切ったことがない」 金氏徹平
・批評 「エコロジカル・クライシスにおける「共鳴の領域」の探究」 篠原雅武
【批評・ノンフィクション】
・新連載 「旋回する人類学」 松村圭一郎
・最終回 「非人間」 大澤信亮 「ケアの倫理とエンパワメント」 小川公代
・読み切り 「フェミニズム小説としての津島佑子――『笑いオオカミ』『ナラ・レポート』を読む 木村朗子
・連作 「大江健三郎と「晩年の仕事」」 工藤庸子 「2011―2021 視えない線の上で」 石戸諭
・対談 「批評のマテリアリズム」 安藤礼二×佐々木敦
【古井由吉一周忌】
「競馬場の人」 高橋源一郎
「こんな日もある 競馬徒然草」 古井由吉
「過渡期の書――『東京物語考』考」 蜂飼耳
「ひじりの庭」 築地正明
【映画公開記念対談】
「小説『身分帳』から映画『すばらしき世界』へ」 西川美和×六角精児
【コラボ連載】
「DIG 現代新書クラシックス」 荒井裕樹「アフター・コロナの優生思想」
【追悼半藤一利】
「戦後の精神」 保阪正康
「現代日本の墨家たらんとした人」 井上亮見えない道標 若松英【小特集「旅」】

〈批評総特集〉

「論」の遠近法2021

認識と情緒のあいだで――乗代雄介「旅する練習」論  山本貴光

掠れうる星たちの実験 乗代雄介

エドワード・サイード――ある批評家の残響  中井亜佐子

傍観者とサバルタンの漫才――富岡多惠子論  住本麻子

淵に立つヒューマニズム――本谷有希子『あなたにオススメの』のエコロジー  小澤英実

ヴァイオリニストと猫、あるいは人工妊娠中絶と寓話について  石川義正

「風の時代」の星占い的論考。  石井ゆかり

【『シンジケート〔新装版〕刊行記念】

〈対談〉

ときめきと絶望を越えて  穂村 弘×最果タヒ

〈エッセイ〉

緊張の装丁  名久井直子

〈批評連作〉

空海〔3〕  安藤礼二

食客論〔2〕  星野 太

〈最終回〉

硝子万華鏡〔10〕  日和聡子×ヒグチユウコ

〈鼎談シリーズ〉 

二〇世紀の思想・文学・芸術〔8〕世界内戦2.0  松浦寿輝×沼野充義×田中 純

〈コラボ連載〉 

DIG 現代新書クラシックス〔7〕新書の役割――「ナチスは良いこともした」と主張したがる人たち  田野大輔

〈連載〉

見えない道標〔5〕  若松英輔

戒厳〔8〕  四方田犬彦

はぐれんぼう〔12〕  青山七恵

ゴッホの犬と耳とひまわり〔18〕  長野まゆみ

鉄の胡蝶は記憶に歳月の夢に彫るか〔35〕  保坂和志

二月のつぎに七月が〔36〕  堀江敏幸

世界と私のA to Z〔3〕  竹田ダニエル

言葉の展望台〔3〕  三木那由他

スマートな悪 技術と暴力について〔4〕  戸谷洋志

こんな日もある 競馬徒然草〔5〕  古井由吉

旋回する人類学〔5〕  松村圭一郎

ポエトリー・ドッグス〔6〕  斉藤 倫  

マルクスる思考〔10〕  斎藤幸平

現代短歌ノート二冊目〔10〕  穂村 弘

日常の横顔〔10〕  松田青子

日日是目分量〔11〕  くどうれいん  

薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔14〕  諏訪部浩一

歴史の屑拾い〔15〕  藤原辰史

「近過去」としての平成〔16〕  武田砂鉄

「ヤッター」の雰囲気〔16〕  星野概念

星占い的思考〔16〕  石井ゆかり

辺境図書館〔17〕  皆川博子

〈世界史〉の哲学〔133〕  大澤真幸

文芸文庫の風景〔7〕  六角堂DADA

極私的雑誌デザイン考〔18〕  川名 潤

文芸文庫通信〔5〕 

〈随筆〉

陰毛スプラウト  石田夏穂

母がくれた最後の指輪  長田育恵

秦の中国統一をめぐる歴史イフ  佐藤信弥

〈書評〉

『本心』平野啓一郎  小川公代