【特集 レベッカ・ソルニット】管 啓次郎 東辻賢治郎 ハーン小路恭子

『ウォークス 歩くことの精神史』『説教したがる男たち』『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』など、近年邦訳が進み、フェミニズムの文脈にとどまらず社会的インパクトをもたらしているレベッカ・ソルニット。未邦訳の作品も多くジャンルを特定できない広範な領域で執筆・活動する彼女の言葉はいったいどこからきたのか、そして彼女の言う「私」とは誰のことなのか。管啓次郎さん、ソルニットを訳されている東辻賢治郎さんハーン小路恭子さんによる特集を組み、彼女の全体像の一端に迫っていただきました。


【創作】川上弘美 石田夏穂 山家 望 【特別エッセイ】松浦理英子

カズとアンと三人で会った。徹底的にとりとめのないことのみを喋った二時間だった。巻頭創作は川上弘美さんの連作短篇「すでに破いて中味が空になっている部分」です。

新鋭の中篇一挙が2作、芥川賞候補作『我が友、スミス』が話題の石田夏穂さん「ケチる貴方」と、太宰治賞受賞第1作となる山家望さん「そのあわい」です。

松浦理英子さん「心を使わない人」は、本誌連載『ヒカリ文集』の単行本刊行(2月22日頃発売)記念エッセイです。次号では小特集も予定しています。


【芥川賞受賞記念】砂川文次 高原 到 【新連載】山本貴光

本誌2021年8月号掲載、砂川文次さん『ブラックボックス』が、第166回芥川龍之介賞を受賞しました。砂川さん、おめでとうございます。受賞記念エッセイと、高原到さんによる、中上健次「十九歳の地図」を引き合いにした『ブラックボックス』論、「ケダモノ、街を奔る」を掲載します。

山本貴光さんによる新連載「文学のエコロジー」がスタート。プログラマー的視点で文学を観察する新感覚批評です。


【批評】絓 秀実 築地正明 富岡幸一郎

重厚な批評作品を3本連続でお届けします。

デビュー作『花田清輝 砂のペルソナ』から40年。文学と革命をめぐる思考は深化する。(絓 秀実「花田清輝の「党」」)

三回忌。曖昧さと揺らぎ。私と他者の間に生じる融合、共振。初期の長篇『聖』を中心とした、古井文学の源泉への試文。(築地正明「聖、民俗と記憶 古井文学の源泉を求めて」)

近代史の底に沈んだ日本の「思想」は、どのようなかたちをしていたか。いまふたたび、「近代の超克」が問われている。(富岡幸一郎「昭和の思想力」)


【論点】江間有沙 大島 新 中井亜佐子 【最終回】星野概念

今月の「論点」は、江間有沙さんに「アバターと倫理」、話題の映画「香川1区」の監督大島新さんに「ドキュメンタリー映画」、中井亜佐子さんに「移住者たちの文学」について論じていただきました。星野概念さん「「ヤッター」の雰囲気」は最終回。夏ごろ弊社より単行本の刊行を予定しています。


〈創作〉

すでに破いて中味が空になっている部分  川上弘美

〈中篇一挙〉

ケチる貴方  石田夏穂

そのあわい  山家 望

〈新連載〉

文学のエコロジー  山本貴光

〈芥川賞受賞記念〉

〈特別エッセイ〉

規則正しい生活  砂川文次

〈批評〉

ケダモノ、街を奔る――『ブラックボックス』と「十九歳の地図」  高原 到

〈特集 レベッカ・ソルニットとは誰か。〉

エレメンタル レベッカ・ソルニットの文章について  管 啓次郎

たとえば欄外にテキストを走らせ、地図帳を言葉であふれさせること  東辻賢治郎

レベッカ・ソルニットのフェミニズムと繰り返しの美学  ハーン小路恭子

〈批評〉

花田清輝の「党」  絓 秀実

聖、民俗と記憶――古井文学の源泉を求めて  築地正明

昭和の思想力  富岡幸一郎

「読む」ことで巡り会いながら、通り過ぎたものと再び向き合うために――自らの生涯をたどり直す。
【創作】
「夜中目が覚めた時に必ず考える」 川上弘美
「桃息吐息」 いしいしんじ
【震災後の世界10先行掲載】
「国家・ゼロエフ・浄土」 古川日出男
【小特集 第三の新人】
・創作 「あかるい場所」 江國香織
・エッセイ 「山の上の家のまわり」 島田潤一郎
・批評 「日常の再発見に向けて――「第三の新人」を読むために」 山本貴光
・アンケート 「いま読みたい第三の新人作品」 石倉真帆/石田千/大前粟生/小川哲/河﨑秋子/木村紅美/郡司ベギオ幸夫/高橋弘希/高山羽根子/乗代雄介/三国美千子/水原涼
【チェルフィッチュ群像公演】
・創作 「消しゴム式」 チェルフィッチュ/岡田利規
・解説 「「消しゴム式」への道」 岡田利規
・エッセイ 「消しゴムを最後まで使い切ったことがない」 金氏徹平
・批評 「エコロジカル・クライシスにおける「共鳴の領域」の探究」 篠原雅武
【批評・ノンフィクション】
・新連載 「旋回する人類学」 松村圭一郎
・最終回 「非人間」 大澤信亮 「ケアの倫理とエンパワメント」 小川公代
・読み切り 「フェミニズム小説としての津島佑子――『笑いオオカミ』『ナラ・レポート』を読む 木村朗子
・連作 「大江健三郎と「晩年の仕事」」 工藤庸子 「2011―2021 視えない線の上で」 石戸諭
・対談 「批評のマテリアリズム」 安藤礼二×佐々木敦
【古井由吉一周忌】
「競馬場の人」 高橋源一郎
「こんな日もある 競馬徒然草」 古井由吉
「過渡期の書――『東京物語考』考」 蜂飼耳
「ひじりの庭」 築地正明
【映画公開記念対談】
「小説『身分帳』から映画『すばらしき世界』へ」 西川美和×六角精児
【コラボ連載】
「DIG 現代新書クラシックス」 荒井裕樹「アフター・コロナの優生思想」
【追悼半藤一利】
「戦後の精神」 保阪正康
「現代日本の墨家たらんとした人」 井上亮見えない道標 若松英【小特集「旅」】

〈『ヒカリ文集』刊行記念特別エッセイ〉 

心を使わない人  松浦理英子

〈論点〉 

アバター社会が知情意にもたらすもの  江間有沙

映画が現実を変えることは許されるのか  大島 新

〈新しさ〉はこの世界に可能か――移住者たちの文学をめぐる覚書  中井亜佐子

〈連載再開〉

所有について〔11〕  鷲田清一

〈最終回〉

「ヤッター」の雰囲気〔24〕  星野概念

〈コラボ連載〉

SEEDS 現代新書のタネ〔2〕韓国語 日本語人を「言語学者」にする言語  辻野裕紀

〈連載〉

の、すべて〔3〕  古川日出男

太陽諸島〔6〕  多和田葉子

新「古事記」an impossible story〔7〕  村田喜代子

見えない道標〔9〕  若松英輔

はぐれんぼう〔20〕  青山七恵

ゴッホの犬と耳とひまわり〔26〕  長野まゆみ

鉄の胡蝶は歳月は記憶は夢の彫るか〔43〕  保坂和志

磯崎新論〔3〕  田中 純

講談放浪記〔3〕  神田伯山

食客論〔6〕  星野 太

ケアする惑星〔8〕  小川公代

世界と私のA to Z〔11〕  竹田ダニエル

言葉の展望台〔11〕  三木那由他

こんな日もある 競馬徒然草〔13〕  古井由吉

旋回する人類学〔13〕  松村圭一郎

ポエトリー・ドッグス〔14〕  斉藤 倫

マルクスる思考〔17〕  斎藤幸平

現代短歌ノート二冊目〔18〕  穂村 弘

日日是目分量〔19〕  くどうれいん

薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔21〕  諏訪部浩一  

「近過去」としての平成〔24〕  武田砂鉄

星占い的思考〔24〕  石井ゆかり

辺境図書館〔24〕  皆川博子

国家と批評〔21〕  大澤 聡

〈世界史〉の哲学〔140〕  大澤真幸

文芸文庫の風景〔15〕  佐伯慎亮

極私的雑誌デザイン考〔24〕  川名 潤

〈随筆〉

平和の主語  キハラハント愛

街の色  久野 愛

紛い物の恋  佐々木チワワ

大阪市東住吉区田辺3丁目  上林 翼

〈書評〉

『侯孝賢の映画講義』侯孝賢  三浦哲哉

『ヌマヌマ記 はまったら抜けだせない現代ロシア小説傑作選』沼野充義・沼野恭子/編訳 小林エリカ