群像2022年7月号

【創作】井戸川射子 尾久守侑

幼い娘たちと過ごすために通ったショッピングセンター。そこの喪服売り場で働くあなたは、フードコートにずっと座っている少女が気になっている。(井戸川射子「この世の喜びよ」)

 

空想という世界線にワープして、わたしはいまを生き延びる。本当のわたしはどこにいるのだろう。(尾久守侑「天気予報士エミリ」)


「論」の遠近法2022

今年の「批評総特集」も様々な批評文が集まりました。宇野常寛の新連載「庭の話」。新著『力と交換様式』を書き終えた、柄谷行人によるエッセイ「社会科学から社会化学へ」ほか、入江哲朗「爽やかな人間中心主義 批評とポストヒューマニズム的思潮」、片岡大右「アジアの複数性をめぐる問い 加藤周一、ホー・ツーニェン、ユク・ホイの仕事をめぐって」、倉本さおり「「かれ」と「私」の彼岸 町屋良平『ほんのこども』論」、住本麻子「「とり乱し」の先、「出会い」がつくる条件 田中美津『いのちの女たちへ』論」、新田啓子「命のやすさ 依存者の詩学と不確かな生」、廣瀬純「Name Is Johnny…,Guitar. 蓮實重彦『ショットとは何か』論」、ベンジャミン・クリッツァー「「感情」と「理性」:けっきょくどちらが大切なのか? 」、水上文「我ら拷問者 松浦理英子論・試論」など力作批評、瀬戸夏子のエッセイ「我々は既にエミリー・ディキンソンではない」、そして『国家と批評』第Ⅰ部が完結した大澤聡のインタビュー(聞き手:宮田文久)「国家と批評と生活と」を掲載。


【対談】千葉雅也×三浦哲哉

『現代思想入門』刊行記念対談。沙漠の時代に「現代思想」をいかに受け継ぐのか。(千葉雅也×三浦哲哉「人生のリゾーム的展開をめぐって」)


【最終回】多和田葉子

Hirukoが生まれ育った島国は、消えてしまったのか。バルト海の船旅の末に六人がたどり着いた答えとは――多和田葉子さんの連載小説「太陽諸島」がついに最終回。


【追悼】菊地信義 中山俊宏

菊地信義さん、中山俊宏さんが逝去されました。水戸部功さん、池内恵さんに追悼文をいただいております。謹んでお悔やみを申し上げます。


もくじ

 

〈創作〉

 

この世の喜びよ  井戸川射子
天気予報士エミリ  尾久守侑

 

 

 

〈批評総特集 「論」の遠近法2022〉

 

〈新連載〉

 

庭の話 宇野常寛

 

 

 

〈批評〉

 

爽やかな人間中心主義 批評とポストヒューマニズム的思潮  入江哲朗
アジアの複数性をめぐる問い 加藤周一、ホー・ツーニェン、ユク・ホイの仕事をめぐって  片岡大右
社会科学から社会化学へ  柄谷行人
「かれ」と「私」の彼岸 町屋良平『ほんのこども』論  倉本さおり
「とり乱し」の先、「出会い」がつくる条件 田中美津『いのちの女たちへ』論  住本麻子
我々は既にエミリー・ディキンソンではない  瀬戸夏子
命のやすさ 依存者の詩学と不確かな生  新田啓子
Name Is Johnny…, Guitar. 蓮實重彦『ショットとは何か』論  廣瀬 純

 

「感情」と「理性」:けっきょくどちらが大切なのか?  ベンジャミン・クリッツァー

 

我ら拷問者 松浦理英子論・試論  水上 文

 

 

 

〈「国家と批評」第一部完結インタビュー〉

 

国家と批評と生活と 大澤 聡 聞き手:宮田文久
国家と批評 〔25〕 大澤 聡

 

 

 

〈『現代思想入門』刊行記念対談〉

 

人生のリゾーム的展開をめぐって 千葉雅也×三浦哲哉

 

 

 

〈追悼・菊地信義〉

 

言葉と物 水戸部 功

 

 

 

〈追悼・中山俊宏〉

 

微かな響き合いの中に 池内 恵

 

 

 

〈論点〉

 

「正しい日本語」を越えて 「パートナーの呼び方」を自分で選ぶ  中村桃子

 

 

 

 

 

〈批評連作〉

 

空海 〔7〕  安藤礼二

 

 

 

(最終回〉

 

太陽諸島 〔10〕  多和田葉子

 

 

 

 

 

〈コラボ連載〉

 

SEEDS 現代新書のタネ〔6〕眠りの起源に迫る  金谷啓之

 

 

 

 

〈連載〉

 

の、すべて〔6〕  古川日出男
新「古事記」an impossible story〔10〕  村田喜代子
見えない道標〔13〕  若松英輔
鉄の胡蝶は歳月に夢は記憶を彫るか〔47〕  保坂和志
二月のつぎに七月が〔42〕  堀江敏幸

事務に狂う人々〔2〕  阿部公彦
撮るあなたを撮るわたしを〔3〕  大山 顕
世界の適切な保存〔3〕  永井玲衣
なめらかな人〔4〕  百瀬 文
文学のエコロジー〔5〕  山本貴光
磯崎新論〔7〕  田中 純
講談放浪記〔7〕  神田伯山
地図とその分身たち〔9〕  東辻賢治郎
食客論〔8〕  星野 太
ケアする惑星〔12〕  小川公代
言葉の展望台〔15〕  三木那由他
こんな日もある 競馬徒然草〔17〕  古井由吉
旋回する人類学〔17〕  松村圭一郎
現代短歌ノート二冊目〔22〕  穂村 弘
日日是目分量〔23〕  くどうれいん
Nの廻廊〔14〕  保阪正康
薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔25〕  諏訪部浩一
「近過去」としての平成〔28〕  武田砂鉄
星占い的思考〔28〕  石井ゆかり
所有について〔15〕  鷲田清一
辺境図書館〔28〕  皆川博子
文芸文庫の風景〔19〕  水戸部 功

 

 

 

 

 

〈随筆〉

 

「コジモール?」  大川史織
船乗りに吹く風  久栖博季
画面の功罪  黒木秀房
何も信用ならない 年森 瑛
シャドーロール 野崎有以

 

 

 

〈書評〉

 

『無月の譜』松浦寿輝  中田健太郎
『君たちはしかし再び来い』山下澄人 古谷利裕

 

 

 

〈創作合評〉

 

「祝宴」温又柔
「夢と灰」青野暦
「遠い指先が触れて」島口大樹
長瀬 海×森山 恵×山下澄人