
第53回群像新人文学賞には2036(小説1884・評論152)篇の応募があり、
伊藤たかみ、絲山秋子、田中和生、長嶋有、松浦寿輝の5氏による
選考の結果、下記のように決定いたしました。
受賞作と受賞の言葉、選評は群像2010年6月号をお読み下さい。
【小説部門 当選作】
「朝が止まる」
淺川継太 受賞のことば
Q:小説を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?A:中学生のとき、クラスの日誌のようなものとして使われていたノートに物語を書き始めたのがきっかけです。 Q:群像新人賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?A:群像は正統派純文学の絶壁という印象でしたので、まず大丈夫だろう、つまりまず落選だろうと思って安心して応募しました。 Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。A:二つのストーリーをパラレルに進めていますが、もともとは独立した作品として構想していました。二三年しても形にならないので、いっそいっぺんに やってみようと思い立ちました。 Q:どういう時間に執筆していますか?どんなときにアイディアが浮かびますか?A:受賞作の第一稿は電車の中で書いていました。 アイディアが浮かんだということは一度もありません。書きながら考えています。書いたあとで考えることもあります。 Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。A:安部公房の「密会」は十回は読み返していると思います。 作家でということなら、ここ数年は集中して大江健三郎を読んでいました。 サリンジャーも好きです。評論では小林秀雄をよく読みます。 Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。A:「朝が止まる」を書いているとき考えていたのは、自分の書いている「こと」を、できるだけ書かれた「もの」に近づけたいということでした。 【小説部門 当選作】
「後悔さきにたたず」
野水陽介 受賞のことば
Q:小説/評論を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?A:いつかは定かではありませんが、家でふとテレビを見ているときに、書いてみようと決意いたしました。 Q:群像新人賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?A:書き進めた小説の完成が、九月下旬頃でしたので、枚数との兼ね合いから、群像新人賞に応募させて頂きました。 Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。A:昔ある友人から聞いた話を、自分なりに解釈し、物語にしたらどうなるのだろうと不思議に思い、試しに書いてみたに至ります。 Q:どういう時間に執筆していますか?どんなときにアイディアが浮かびますか?A:早朝と夜遅くに執筆しております。アイデアには恵まれないので、身近な方をよく観察させて頂いております。 Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。A:好きな小説は『寒山拾得』、好きな書き手も、森鴎外氏です。その他は数限りなく、ここでは控えさせて頂いております。 Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。A:250枚の規定枚数に余裕があり、無駄なことを書こう、と思い、却ってそれが良い評価を与えられたりもいたしました。 【評論部門 優秀作】
「福田恒存VS武智鉄二――西洋か伝統か、それが問題だ!」
飯塚数人 受賞のことば
Q:小説/評論を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?A:最初に評論めいたものを書いたのは大学生のころでした。きっかけは忘れましたが、たぶん物書きになりたかったのだと思います。 Q:群像新人賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?A:評論の公募はここだけということと、枚数や締切の期限などがちょうどよかったことでしょうか。 Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。A:題材はかなりまえから暖めていたのですが、いまこそ書かねばという思いに突き動かされた感じです。 Q:どういう時間に執筆していますか?どんなときにアイディアが浮かびますか?A:ひまさえあれば。ボケっとしてるとき。 Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。A:本 『タイ古典文学名作選』『三国志演義』『封神演義』『マハーバーラタ』等アジアの伝奇物語 書き手 オウィディウス ルーミー ニザーミー ホセリサール チュツオーラ 金芝河 荒正人 鮎川信夫 篠田一士 石井達朗 広瀬隆 矢崎泰久 Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。巷にあふれる「傾向と対策」とかを勉強するよか、古典を読むこと詩を読むことのほうが絶対必要だと思います。
A:巷にあふれる「傾向と対策」とかを勉強するよか、古典を読むこと詩を読むことのほうが絶対必要だと思います。 |
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