群像2010年12月号

静謐な短篇

古井由吉

記憶の底から登ってきた眼が、静かにこちらを見つめている――。古井由吉が精緻な文章で紡ぐ世界を体感して下さい。


濃密な三角関係
栗田有起「テンガロンズ」

待望の栗田有起の小説が「群像」に5年ぶりに登場です! 恋人でも家族でもない濃密な三角関係。キラキラした時間の面影を追う西への旅。


言葉がはじけ飛ぶ!

木下古栗「いい女vs.いい女」

2006年に群像新人文学賞優秀作を受賞した新鋭・木下古栗の最新作。言葉がはじけ飛び、あなたの脳を揺らす!!


安楽死を巡る謎

石黒達昌「ハバナの夜」

同僚の看護師を安楽死させたはっちゃんの真意とは……? 外科医でもある石黒達昌が描く意欲作。


対談「小説だけが成し得るテロリズム」

富岡多惠子×町田康

魂のテロルを描く衝撃的な書き下ろし長篇『人間小唄』を発表したばかりの町田康が、富岡多惠子と語り合います。人々の感受性の劣化と、小説はいかに斬り結ぶのか。詩と小説で挑戦し続けてきた二人の対話をぜひお読み下さい。


もくじ

〈創作〉

尋ね人  古井由吉

テンガロンズ  栗田有起

いい女vs.いい女  木下古栗

ハバナの夜  石黒達昌

〈対談〉

小説だけが成し得るテロリズム

富岡多惠子×町田 康

〈連載小説〉

わたしの彼氏 最終回  青山七恵

地上生活者 第四部 最終回  李恢成

燃える家〔2〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔10〕  山崎ナオコーラ

裂〔13〕  花村萬月

日本文学盛衰史 戦後文学篇〔13〕  高橋源一郎

未明の闘争〔14〕  保坂和志

〈連載評論〉

孤独の発明〔12〕  三浦雅士

村上春樹の短編を英語で読む〔16〕  加藤典洋

〈世界史〉の哲学〔22〕  大澤真幸

東と西――横光利一の旅愁〔29〕  関川夏央


〈連載〉

会社員小説をめぐって〔6〕  伊井直行

現代短歌ノート〔9〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔21〕  秋山 駿

映画時評〔24〕  蓮實重彦

〈随筆〉

芋美と幸子  津村記久子

自由と、不自由  玄侑宗久

チママンダ旋風が残したもの  くぼたのぞみ

親戚志願  貴志祐介

〈私のベスト3〉

富岡多惠子初期短編  横田 創

遠距離ベーグルの会  雪舟えま

なぜか、ふいに思い出してしまう人~職場編~  喜多ふあり

〈書評〉

文学の生死(『妻の超然』絲山秋子)  阿部公彦

脆く、危うく、時々、美しい(『お別れの音』青山七恵)  島本理生

「観察(者)」の考古学(『量子の社会哲学』大澤真幸)  北田暁大

〈創作合評〉

藤沢 周+小池昌代+山城むつみ

「陽だまり幻想曲」楊逸(群像2010年11月号)

「きんぴら」広小路尚祈(群像2010年11月号)

「まことの人々」大森兄弟(文藝2010年冬号)