群像2018年5月号

歳時創作シリーズ 肆 季・憶 Ki-Oku

長嶋 有「蛙始鳴」 髙樹のぶ子「蚕起食桑」 保坂和志「腐草為螢」

あおあおと夏めいていく緑。日は高くのぼり、万物をかがやかせる。作家の想像力で繫ぐひととせ――二十四節気七十二候――の季節の記憶。一年をとおした読み切り掌篇大特集。歳時創作シリーズ「季・憶 Ki-Oku」。第4弾は長嶋 有「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」、 髙樹のぶ子「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」、 保坂和志「腐草為螢(ふそうほたるとなる)」


新連載

絲山秋子「御社のチャラ男」

本当にどこにでもいるんです。どこに行ってもクローンみたいにそっくりなのが。外資系でも、公務員でも、士業だって。チャラ男は、どこにでもいるんです。待望の絲山秋子の新連載「御社のチャラ男」


創作一挙掲載

新庄 耕「サーラレーオ」

定職をもたず売人をしているおれはアナンヤと暮らしている。そこに旧友が現われるが……混沌と喧騒がひしめくバンコクで踠き躍動する男を圧倒的筆力で描きだした、気鋭が挑む新たなピカレスク文学。新庄 耕の創作「サーラレーオ」一挙掲載


特別対談

横尾忠則×磯﨑憲一郎「わからない芸術」

自らを創作に向かわせているものは、何なのか。言葉と絵画はなにが違い、どこが同じなのか。美術家と小説家が老いを見据え、おのおのの芸術に対する発想と考え方を存分に語り合った。横尾忠則×磯﨑憲一郎の特別対談「わからない芸術」 


連作評論 最終回

安藤礼二「大拙」

鈴木大拙の仏教哲学にとって禅とはどのような意味をもつのか? そして大拙とは一体何者だったのか? 大拙の思想と人物を新たな視線で解き明かしてきた安藤礼二渾身の連作評論「大拙」がついに完結!


もくじ

〈歳時創作シリーズ 肆〉季・憶 Ki-Oku

蛙始鳴(かわずはじめてなく)      長嶋 有

蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)  髙樹のぶ子

腐草為螢(ふそうほたるとなる)    保坂和志

〈新連載〉

御社のチャラ男        絲山秋子

〈創作一挙掲載〉

サーラレーオ         新庄 耕

〈特別対談〉

わからない芸術   横尾忠則×磯﨑憲一郎

〈連作評論 最終回〉

大拙             安藤礼二

〈リレーエッセイ「私と大江健三郎」〉

おれらの時代         町田 康

〈連載小説〉

おおきな森〔5〕  古川日出男

人外(にんがい)〔6〕  松浦寿輝

二月のつぎに七月が〔13〕  堀江敏幸

山海記〔17〕  佐伯一麦

ブロークン・ブリテンに聞け〔3〕 ブレイディみかこ

レンマ学〔4〕  中沢新一

出雲神話論〔8〕  三浦佑之

人間とは何か                  ──フランス文学による感情教育──〔10〕中条省平

たましいを旅するひと──河合隼雄〔15〕 若松英輔

〈世界史〉の哲学〔103〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔96〕  穂村 弘

〈随筆〉

辻章さんのこと  三木 卓

ミモザの咲くころ──魂しずめの受賞  保苅瑞穂

ミニマル文学としての人工知能  山本貴光

だめじゃん、中東研究者。(でも…)  酒井啓子

神保町の異常な二人  斎藤真理子

モナへの手紙  瀬尾まなほ

「伝統」はモヤモヤする  藤井青銅

〈書評〉

なつかしい「戦前」の再構築(『雪の階』奥泉 光)                                            関川夏央

今ここにあるミライミライ(『ミライミライ』古川日出男)                                        佐々木 敦

よりつどう詩魂の饗宴(『小林秀雄 美しい花』若松英輔)                                         高原 到

自分と対話すること(『独り舞』李 琴峰)岩川ありさ

〈創作合評〉

富岡幸一郎×諏訪哲史×朝比奈あすか

「俺の部屋からは野球場が見える」岡本 学                   (群像2018年4月号)

「彼は本当は優しい」古市憲寿                       (文學界2018年4月号)

「あなたの声わたしの声」小山内恵美子                   (すばる2018年4月号)