群像2018年9月号

創作160枚

西村賢太「羅針盤は壊れても」

こんなに面白い“純文学”がこの世にあったのか。こんなのが“純文学”であってもいいのか。『田中英光全集』第七巻を手にし、蒙を啓かれた北町貫多。やがて彼は自ら小説を書き始める――。西村賢太の創作160枚「羅針盤は壊れても」


特別対談

三浦雅士×柴田元幸「世界を俯瞰する眼と翻訳的存在」

人間の言語はどこからきたのか。俯瞰する眼は言語を成立させ、立場の交換を可能にする。あらゆる認識、思考から翻訳論まで、言語現象の本質に迫る大型対談。『孤独の発明または言語の政治学』を刊行したばかりの三浦雅士と柴田元幸による特別対談「世界を俯瞰する眼と翻訳的存在」


シンポジウム 

高橋源一郎×平野啓一郎×尾崎真理子「大江文学の面白さをとことん語りつくす!」

『大江健三郎全小説』の刊行を記念して行われた公開シンポジウムには350人もの参加者が詰めかけた。討議は熱気にあふれ、大江文学の全貌に迫る。高橋源一郎、平野啓一郎、尾崎真理子による特別シンポジウム「大江文学の面白さをとことん語りつくす!」


中篇160枚

四元康祐「わが神曲・放射線」

病院のガラスの自動扉がゆっくりと開く。その扉を潜るたびに巡礼者ダンテが「地獄の門」を通り抜ける場面を詩人は思い出す。四元康祐の中篇160枚「わが神曲・放射線」


連作

藤野可織「ピエタとトランジ〈完全版〉」(11)

親友の名前はトランジで、私はピエタ。本名は書かない。私たちはだいたいそう呼ばれてきたし、しっくりくるあだ名だから――。六十四歳になった私は、「彼」の眉間を小型拳銃で、撃ち抜き……。藤野可織の連作第11回目「ピエタとトランジ〈完全版〉」


もくじ

〈創作160枚〉

西村賢太「羅針盤は壊れても」

〈特別対談〉

三浦雅士×柴田元幸「世界を俯瞰する眼と翻訳的存在」

〈シンポジウム〉

高橋源一郎×平野啓一郎×尾崎真理子「大江文学の面白さをとことん語りつくす!」

〈中篇160枚〉

四元康祐「わが神曲・放射線」

〈連作〉

藤野可織「ピエタとトランジ〈完全版〉」(11)   

〈連載〉

その日まで〔2〕  瀬戸内寂聴

湘南夫人〔2〕  石原慎太郎

鉄の胡蝶は記憶の歳月に夢を彫るか〔2〕  保坂和志

帝国の黄昏〔4〕  花村萬月

御社のチャラ男〔5〕 絲山秋子

おおきな森〔9〕  古川日出男

人外(にんがい)〔10〕  松浦寿輝

二月のつぎに七月が〔17〕  堀江敏幸

ブロークン・ブリテンに聞け〔7〕 ブレイディみかこ

レンマ学〔8〕  中沢新一

出雲神話論〔12〕  三浦佑之


人間とは何か                  ──フランス文学による感情教育──〔14〕中条省平

たましいを旅するひと──河合隼雄〔19〕 若松英輔

〈世界史〉の哲学〔107〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔100〕  穂村 弘

〈随筆〉

神は土俵のどこにいる?  内館牧子

あの街、この街 柴崎友香、相米慎二  濱口竜介

部屋と文体  町屋良平

それでいいのだ  爪切男

〈書評〉

絶望はキャラメル箱の底で光る(『絶望キャラメル』島田雅彦)  海猫沢めろん

匂いとふるえ(『TIMELESS』いしいしんじ)  朝吹真理子

純粋な観察者――芥川龍之介と高橋弘希(高橋弘希『送り火』)  岩川ありさ

リーグ三部、だがサポーターは熱い(水原涼『蹴爪』)  陣野俊史

「少女」を奪い返す言葉のつらなり(『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著)  倉本さおり

安藤礼二×蜂飼 耳×小澤英実

「うみまち」太田靖久(すばる2018年8月号)

「永遠のあとに来る最初の一日」福嶋伸洋(すばる2018年8月号)

「波に幾月」藤代 泉(文藝2018年秋季号)