群像2024年1月号

【新連載】阿部和重 原武史


阿部和重さんの新連載「Wet Affairs Leaking」。まさに「戦時下のいま」を映し出す長篇連載のスタートです。原武史さんの新連載が「日吉アカデミア一九七六」。「慶應義塾」についてあらためて考えていたことがこの連載に結実しました。

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阿部和重さん「Wet Affairs Leaking」

あのことを隠しながら作戦を成功できるのか……。特別準軍事作戦に当たるロシア人工作員ワジム・オルロフの思考は加速していく。混迷する現代世界を映し出す、待望の長篇新連載。

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原武史さん「日吉アカデミア一九七六」

「慶應義塾との最初の出会いがここにあった」。連載から一七年、あの『滝山コミューン一九七四』の続篇が始まる。

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【コラボ連載 往復書簡】釈徹宗×若松英輔 【『なれのはて』『列』 W刊行記念対談】加藤シゲアキ×中村文則

講談社現代新書編集部とのコラボ連載が始まります。「現代新書Web」での釈徹宗さんと若松英輔による往復書簡「『宗教の本質』とは?」が、「群像」にお引越ししました。本誌初登場となる加藤シゲアキさんの最新作『なれのはて』と、中村文則さんの最新作『列』、2冊の力作をめぐって、旧知のふたりが小説について存分に語りつくすW刊行記念対談です。

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釈徹宗さん×若松英輔さん「『宗教の本質』とは? 1 新たな自分が誕生する『名づけ』」

「ちょっとウダウダしながら、かつ深く、かつ真摯に」ふたりが語り合う、講談社現代新書編集部とのコラボ連載。

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加藤シゲアキさん×中村文則さん「いま小説を書くこと」

小説は時代性を帯びる。現代において、書くことにまっすぐ向き合う。

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【野間文芸賞・野間文芸新人賞発表】川上弘美 朝比奈秋 九段理江 【特別対談】川上弘美×宮田毬栄

第76回野間文芸賞は川上弘美さん『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』に、第45回野間文芸新人賞は朝比奈秋さん『あなたの燃える左手で』九段理江さん「しをかくうま」に決定しました。おめでとうございます。本年の野間文芸賞を受賞された川上弘美さんと最初の担当編集者である宮田毬栄さんの特別対談もぜひご覧ください。

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川上弘美さん×宮田毬栄さん「小説、この不確かなもの」

小説はその時々のすべてを投げ入れなければ書けない。川上弘美が読み/書き、変容し続けてきた三〇年を最初の担当編集者と語る。

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【ロングインタビュー】東浩紀

『訂正可能性の哲学』を刊行した東浩紀さんに、本誌連載「国家と批評」でもおなじみの大澤聡さんが聞き手として迫った、充実のロングインタビュー。

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東浩紀さん(聞き手:大澤聡さん)「批評=楽しさをもとめて。東浩紀の二十五年」

読むのが楽しい、考えるのが楽しい、書くのが楽しい。『存在論的、郵便的』から四半世紀、過去の著作を重層的に読み替え、次作へとつなぎ、体系化していく仕事の根底にあるもの。

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【創作】草野理恵子 【批評】安藤礼二 【論点】波戸岡景太

創作は草野理恵子さん「名前を呼ぶ」、批評は安藤礼二さん「空海」、「論点」は波戸岡景太さんにお願いしました。高山羽根子さんの不定期エッセイ「いま、球場にいます」。日本だけではない野球のおもしろさを伝えていただいています。

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草野理恵子さん「名前を呼ぶ」

亡くなった父の日記帳には、僕の行く末、僕の伴侶についての悩みが書いてあった。「人間」じゃないんだよ、お父さん。小さく焼け残った彼女を、僕はひと時も離さないと決めたんだ。

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安藤礼二さん「空海」

空海はなぜ「高野」を終焉の地に選んだのか。「入定留身」信仰の核に迫る。

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波戸岡景太さん「ナラティブと言う勿れ——戦時下にスーザン・ソンタグと久能整を想うこと」

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高山羽根子さん「いま、球場にいます」

大の野球ファンである著者が訪れたのは、アジア競技大会が開催された中国であった。球場と野球をとりまく風土と景色に思いを馳せ、今年の野球のことを振り返る。

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【最終回】宇野常寛

宇野常寛さん「庭の話」が最終回を迎えています。「本の名刺」は、最相葉月さん、鈴木涼美さん、沼田真佑さん、森合正範さんです。

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宇野常寛さん「庭の話18」

人間には「家」だけではなく「庭」も必要なのだ。孤独に世界に触れられる回路をつくる「庭プロジェクト」の全貌があきらかになる。

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最相葉月さん「本の名刺」/『中井久夫 人と仕事』

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鈴木涼美さん「本の名刺」/『トラディション』

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沼田真佑さん「本の名刺」/『幻日/木山の話』

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森合正範さん「本の名刺」/『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』

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もくじ

再リニューアル、群像は変容し続けます。

〈新連載 創作〉

  • 「Wet Affairs Leaking」阿部和重
  • 「日吉アカデミア一九七六」原武史

 

〈コラボ連載 「往復書簡」〉

  • 「『宗教の本質』とは? 1 新たな自分が誕生する『名づけ』」釈 徹宗×若松英輔

 

〈エッセイ特集〉

  • 麻布競馬場
  • 伊沢拓司
  • 石井ゆかり
  • 石田夏穂
  • 岡本 仁
  • 角田光代
  • 角幡唯介
  • くどうれいん
  • 古賀及子
  • 小西康陽
  • 斉藤壮馬
  • 酒井順子
  • 酒寄希望
  • 向坂くじら
  • 佐藤良成
  • 杉本裕孝
  • 高橋久美子
  • 滝口悠生
  • 武田砂鉄
  • 竹田ダニエル
  • つづ井
  • 年森 瑛
  • 永井玲衣
  • 蓮實重彥
  • 平松洋子
  • 藤代 泉
  • 古川日出男
  • 星野博美
  • 堀江 栞
  • 宮内悠介
  • 宮田愛萌
  • 吉田篤弘

 

〈野間文芸賞・野間文芸新人賞発表〉

  • 第76回野間文芸賞受賞作

「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」川上弘美

受賞のことば/選評(奥泉 光/佐伯一麦/多和田葉子/町田 康/三浦雅士)

  • 第45回野間文芸新人賞受賞作

「あなたの燃える左手で」朝比奈秋

「しをかくうま」九段理江

受賞のことば/選評(小川洋子/川上弘美/高橋源一郎/長嶋 有/保坂和志)

 

〈特別対談〉

  • 「小説、この不確かなもの」川上弘美×宮田毬栄

 

〈『なれのはて』『列』 W刊行記念対談〉

  • 「いま小説を書くこと」加藤シゲアキ×中村文則

 

〈ロングインタビュー〉

  • 「批評=楽しさをもとめて。東浩紀の二十五年」東 浩紀 聞き手:大澤 聡

 

〈創作〉

  • 「名前を呼ぶ」草野理恵子

 

〈不定期エッセイ〉

  • 「いま、球場にいます 」高山羽根子

 

〈批評〉

  • 「空海 13」安藤礼二

 

〈論点〉

  • 「ナラティブと言う勿れ——戦時下にスーザン・ソンタグと久能整を想うこと」波戸岡景太

 

〈最終回〉

  • 「庭の話」 宇野常寛

 

〈本の名刺〉

〈連載〉

    • 「無形〔7〕」井戸川射子
    • 「B〔5〕」松浦寿輝
    • 「多頭獣の話〔16〕」上田岳弘
    • 「鉄の胡蝶は夢の記憶に歳月に彫るか〔65〕」保坂和志
    • 「二月のつぎに七月が〔53〕」堀江敏幸
    • 「ハザマの思考〔4〕」丸山俊一
    • 「セキュリティの共和国——戦略文化とアメリカ文学〔5〕」新田啓子
    • 「星になっても〔5〕」岩内章太郎
    • 「ゲは言語学のゲ〔6〕」吉岡 乾
    • 「養生する言葉〔7〕」岩川ありさ
    • 「僕と「先生」〔3〕」長瀬 海
    • 「メタバース現象考 ここではないどこかへ〔7〕」戸谷洋志
    • 「言葉と物〔6〕」福尾 匠
    • 「海をこえて〔6〕」松村圭一郎
    • 「群像短歌部〔7〕」木下龍也
    • 「チャンドラー講義〔8〕」諏訪部浩一
    • 「星沙たち、〔8〕」青葉市子
    • 「野良の暦〔15〕」鎌田裕樹
    • 「文化の脱走兵〔15〕」奈倉有里
    • 「なめらかな人〔22〕」百瀬 文
    • 「地図とその分身たち〔25〕」東辻賢治郎
    • 「言葉の展望台〔30〕」三木那由他
    • 「現代短歌ノート二冊目〔39〕」穂村 弘
    • 「日日是目分量〔41〕」くどうれいん
    • 「星占い的思考〔46〕」石井ゆかり
    • 「文一の本棚〔7〕」山家 望

 

〈書評〉