群像2024年4月号

【震災後の世界13】【創作】古川日出男 【対談】柴崎友香×古川日出男


【新連載】阿部公彦 鈴木涼美


【創作】小川洋子 高橋源一郎


【第三部始動】工藤庸子 【刊行記念選書】松浦寿輝×沼野充義×田中純


【刊行記念対談】町田康×毬矢まりえ、森山恵 【批評】安藤礼二


【最終回】戸谷洋志 堀江敏幸 百瀬文

群像2024年4月号3月7日発売)
特別定価1500円:A5版

【震災後の世界13】【創作】古川日出男 【対談】柴崎友香×古川日出男

今年もまたひとつカウントされた、「震災後の世界13」では、古川日出男さん「キカイダー、石巻、鳥島、福島」に巻頭をつとめていただいています。『ゼロエフ』で歩き、書いた古川さんが、つぎの一歩目を踏み出します。その古川日出男さんと、最新刊『続きと始まり』でもそうですが、「震災」が創作における大きなモチーフのひとつとなっている柴崎友香さんに、「震災/記憶/場所/書くこと」について対話をしていただいた「書けないところから始まる」も、あわせてお読みください。

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古川日出男さん「キカイダー、石巻、鳥島、福島」

時間と場所と記憶が発酵し、語られなかった言葉が身体からあふれ出す。付着したイメージを排せよ。見たこと聞いたことから判断せよ。『あるこうまたあおう』の一歩目を踏み出す。

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柴崎友香さん×古川日出男さん「書けないところから始まる」

震災を経験しながら、書かずにいたこと、書けずにいたこと。災禍の後の時間に、ふたりが探し続けたこと。

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【新連載】阿部公彦 鈴木涼美

新連載がふたつ始まります。まず阿部公彦さん「父たちのこと」。本誌連載から単行本化、版を重ねている『事務に踊る人々』の「おわりに」に書かれていた阿部さんの父のこと。海軍主計少尉=「事務屋」として任官した父は、軍隊という武装組織の末端で、戦争をどうとらえたのか。阿部さんが迫ります。もうひとつは、鈴木涼美さんによる「不浄流しの少し前」。不浄流しというのは、お祭りの後に降る雨のことだそうです。自らの記憶のあわいに踏みいったときに立ち上がってくるものを記していっていただきます。

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阿部公彦さん「父たちのこと」

太平洋戦争末期に海軍経理学校を卒業し、主計少尉として任官した父。武装組織の末端で「事務屋の目」は戦争をどうとらえたのか。話題書『事務に踊る人々』のあとがきから生まれた新連載がスタート。

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鈴木涼美さん「不浄流しの少し前」

不浄流し、祭りの後にふる雨のこと。霧につつまれた混沌が、美しく忘れ去られてしまわぬうちに。滲む記憶のあわいへ踏みいったときに立ち上がるもの。

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【創作】小川洋子 高橋源一郎

創作は、小川洋子さん「踊りましょうよ」と、高橋源一郎さん「オオカミの」という連作の最新作。

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小川洋子さん「踊りましょうよ」

耳を重ね合わせたふたりは、カルテットの演奏で一続きになってステップを踏む。

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高橋源一郎さん「オオカミの」〔3〕

わたしが会った「おじいさん」は昔『センセイ』で、ほんとうに大切なことは、みんな、『コクバン』に『ハクボク』で書くものだったと教えてくれた。

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【第三部始動】工藤庸子 【刊行記念選書】松浦寿輝×沼野充義×田中純

工藤庸子さんが大江健三郎作品を「リリーディング」する、「文学ノート・大江健三郎」。第三部「神話・歴史・伝承」では、『万延元年のフットボール』と『同時代ゲーム』を扱います。長期にわたって本誌で討議を重ね完結した松浦寿輝さん×沼野充義さん×田中純さん『徹底討議 二〇世紀の思想・文学・芸術』、「超レンガ本」がついに刊行。お三方に「二〇世紀」を振り返る三〇冊を選書していただきました。

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工藤庸子さん「文学ノート・大江健三郎 Ⅲ 神話・歴史・伝承 『万延元年のフットボール』『同時代ゲーム』」

「本の持つ構造のパースペクティヴにおいて読むこと」とはどういうことか? 読み直しの仕事はいまなお続く。

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松浦寿輝さん×沼野充義さん×田中純さん「「二〇世紀の夢」を読む30冊」

四年にわたって続いた連続討議がついに単行本化。「二〇世紀」を振り返る三〇冊を選書する。わたしたちもまた、新たな夢を見る。

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【刊行記念対談】町田康×毬矢まりえ、森山恵 【批評】安藤礼二

単行本化された毬矢まりえさん、森山恵さん『レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」』をめぐって、『口訳 古事記』が大好評の町田康さんとおふたりが語り合った特別対談「「らせん訳」とは何か――時空を超えて木霊する言葉」。現代の「シャーマン」として古典を蘇らせた三人の「ティーパーティ」をぜひお楽しみください。批評は安藤礼二さん「空海」が佳境を迎えています。「本の名刺」は新人賞出身作家の二作品。平沢逸さん『その音は泡の音』、村雲菜月さん『コレクターズ・ハイ』です。

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町田康さん×毬矢まりえさん、森山恵さん「「らせん訳」とは何か ――時空を超えて木霊する言葉」

百年前にアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」を現代日本語に再翻訳した毬矢・森山姉妹と、「古事記」をいまの話し言葉で蘇らせた町田康。創作と翻訳の新たな可能性を探る対話。

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安藤礼二さん「空海」〔14〕

「我」こそが真言を語る。空海が立った場とは。

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平沢逸さん「本の名刺」/『その音は泡の音

村雲菜月さん「本の名刺」/『コレクターズ・ハイ

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【最終回】戸谷洋志 堀江敏幸 百瀬文

戸谷洋志さん「メタバース現象考 ここではないどこかへ」、堀江敏幸さん「二月のつぎに七月が」、百瀬文さん「なめらかな人」が、それぞれ最終回となりました。

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戸谷洋志さん「メタバース現象考 ここではないどこかへ」

超スマート社会=デジタルネイチャーとは異なる、メタバースの方向性とは何か。

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堀江敏幸さん「二月のつぎに七月が」

変わりゆくものの流れにありながら、食堂には今も誰かの声によって語られる言葉がある。お祭りの熱気のなかでさまよい、ひとはまた近づき、離れていく。

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百瀬文さん「なめらかな人」

死ぬこと自体にはあまり興味がないが、自分の体がなくなるということには寂しさを覚えるというか、未練が残る。——好評エッセイ完結。

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川上弘美さんの「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」(「群像」連載)が、第76回野間文芸賞を受賞しました!

『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』(講談社2023年8月刊)

あ、また時間に捕まえられる、と思った。
捕まえられるままに、しておいた。

小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。
カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、
半世紀ほどの後、東京で再会した。
積み重なった時間、経験、恋の思い出。
それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろっていく。

じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。

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川上弘美(かわかみ・ひろみ)

1958年生まれ。94年「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で第115回芥川龍之介賞、99年『神様』(中央公論新社)で第9回紫式部文学賞と第9回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年『溺レる』(文藝春秋)で第11回伊藤整文学賞と第39回女流文学賞、01年『センセイの鞄』(平凡社)で第37回谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』(文藝春秋)で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『水声』(文藝春秋)で第66回読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』(講談社)で第44回泉鏡花文学賞を受賞。
他の著書に『ニシノユキヒコの恋と冒険』(新潮社)、『ハヅキさんのこと』(講談社)、『風花』(集英社)、『どこから行っても遠い町』(新潮社)、『神様 2011』(講談社)、『七夜物語』(朝日新聞出版)、『なめらかで熱くて甘苦しくて』(新潮社)、『森へ行きましょう』(日本経済新聞出版社)、『某』(幻冬舎)、『三度目の恋』(中央公論新社)などがある。

(写真=森 清)

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多和田葉子さんの『太陽諸島』(「群像」連載)が第77回毎日出版文化賞<文学・芸術部門>を受賞しました!

『太陽諸島』(講談社2022年10月刊)
世界文学の旗手が紡ぐ、初の連作長篇三部作、完結!
響きあう言葉とともに地球を旅する仲間たちの行方は――。国境を越えて人と人をつなぐ、新しい時代の神話

ヨーロッパで移民として生きるため、自家製の言語「パンスカ」をつくり出したHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して、仲間たちと共に船の旅に出る。一行を乗せた船はコペンハーゲンからバルト海を東へ進むが、沿岸の港町では次々と謎めいた人物が乗り込んできて――。

言葉で結びついた仲間たちの、時空を超えた出会いと冒険を描く、多和田葉子の新たな代表作。

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多和田葉子(たわだ・ようこ)

小説家、詩人。1960年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学大学院修士課程修了。文学博士(チューリッヒ大学)。1982年よりドイツに在住し、日本語とドイツ語で作品を手がける。1991年『かかとを失くして』で群像新人文学賞、1993年『犬婿入り』で芥川賞、2000年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花文学賞、2002年『球形時間』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2003年『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞、2005年にゲーテ・メダル、2009年に早稲田大学坪内逍遙大賞、2011年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞、2013年『雲をつかむ話』で読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2016年にドイツのクライスト賞を日本人で初めて受賞し、2018年『献灯使』で全米図書賞翻訳文学部門、2020年朝日賞など受賞多数。著書に『ゴットハルト鉄道』『飛魂』『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』『旅をする裸の眼』『ボルドーの義兄』『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』などがある。2023年11月、『太陽諸島』(講談社)で第77回毎日出版文化賞を受賞。

(写真=Elena Giannoulis)

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井戸川射子さんの「この世の喜びよ(「群像」2022年7月号掲載)が、第168回芥川賞を受賞しました!

『この世の喜びよ』(講談社2022年11月刊)

思い出すことは、世界に出会い直すこと。静かな感動を呼ぶ傑作小説集。

娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。その喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。

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井戸川射子(いどがわ・いこ)

1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年、小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞受賞。著書に『する、されるユートピア』(青土社)、『ここはとても速い川』(講談社)、詩集『遠景』(思潮社)がある。2023年、『この世の喜びよ』(講談社)で第168回芥川賞を受賞。

書籍書影
レンマ学
中沢新一
2019年
8月8日発売
書籍書影
窓の外を見てください
片岡義男
2019年
7月24日発売
書籍書影
掃除婦のための手引き書
ルシア・ベルリン 岸本佐知子・訳
2019年
7月10日発売
書籍書影
川っぺりムコリッタ
荻上直子
2019年
6月27日発売