群像2012年8月号

新連載「屋根屋」村田喜代子

短篇「人生ゲーム」綿矢りさ

村田喜代子の連載「屋根屋」がスタート! 雨漏りを直すため家に通うようになった“屋根屋”と、専業主婦の“私”の交流を描く。

綿矢りさの短篇「人生ゲーム」が登場。遊びだと思っていた人生ゲームの予言が、三人の幼なじみの運命を翻弄していく・・・・・・。


中篇二本立て

三輪太郎 佐飛通俊

三輪太郎の中篇「オオクニヌシたち」。政治家の息子であるにもかかわらず、出雲大社の祭神・オオクニヌシに興味を惹かれ、歴史研究の道を歩みだした潔。大学教員となった彼の前に、優秀で魅力的な女子学生・千津が現れた――。

佐飛通俊「さしあたってとりあえず寂しげ」。一流大学を出たけれど派遣社員になった菜子は、会社に馴染めず恋人もおらず“寂しげ”だ。ある日、クリーニング店で働きながら夢を追う青年と出会うが・・・・・・。


特別企画 阿部和重『クエーサーと13番目の柱』を読む

『ピストルズ』以来2年ぶりの長篇小説となる、阿部和重『クエーサーと13番目の柱』刊行記念企画。佐々木 敦の評論「DAYDREAM BELIEVER」と、『私のいない高校』で三島由紀夫賞を受賞し、いま最注目の青木淳によるオマージュ短篇「MEDSYS(マルチエンディングシステム)の別解」を掲載!


『嵐のピクニック』刊行記念インタビュー 本谷有希子

奇想がはじけ飛ぶ13本の短篇からなる新刊『嵐のピクニック』を発表した本谷有希子に、女性作家に関する連作評論が話題を呼んだ田中弥生がインタビュー。著者が初めてショートショートに挑んだ本作。個性あふれる短篇たちの創作の秘密に迫ります。


特集「個人的な詩集」

伊藤比呂美、堀江敏幸、町田 康、松浦寿輝、三浦雅士

5人の作家があるテーマに沿って数篇の詩を選び、作り上げたアンソロジー「個人的な詩集」伊藤比呂美「『まじない』から『語り』まで」、堀江敏幸「それと わかる」、町田 康「崩落の詩」、松浦寿輝「青の変奏」、三浦雅士「死者の華やぎ」。古今東西の名詩たちと、編者による解説をお楽しみ下さい。


もくじ

〈新連載〉

屋根屋  村田喜代子

〈短篇〉

人生ゲーム  綿矢りさ

〈中篇〉

オオクニヌシたち  三輪太郎

さしあたってとりあえず寂しげ  佐飛通俊

〈特集 個人的な詩集〉

「まじない」から「語り」まで  伊藤比呂美・編

それと わかる  堀江敏幸・編

崩落の詩  町田 康・編

青の変奏  松浦寿輝・編

死者の華やぎ  三浦雅士・編

〈特別企画 阿部和重『クエーサーと13番目の柱』を読む〉

〈評論〉DAYDREAM BELIEVER  佐々木 敦

〈オマージュ短篇〉MEDSYS(マルチエンディングシステム)の別解  青木淳悟

〈インタビュー〉

嵐の短篇13本ノックを終えて  本谷有希子 聞き手・田中弥生

〈短期集中連載 2/4回〉

三姉妹  福永 信

〈連作短篇〉〔4〕

+-(加減)  長野まゆみ

〈連作評論〉〔2〕

折口信夫の言語  安藤礼二

〈連載小説〉

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔6〕   李恢成

晩年様式集(イン・レイト・スタイル)〔7〕   大江健三郎

夜は終わらない〔12〕   星野智幸

燃える家〔22〕   田中慎弥

未明の闘争〔34〕   保坂和志

〈連載評論〉

フランス文学と愛〔7〕   野崎 歓

〈世界史〉の哲学〔41〕    大澤真幸

〈連載〉

現代短歌ノート〔29〕   穂村 弘

「生」の日ばかり〔41〕   秋山 駿

映画時評〔44〕   蓮實重彦

〈随筆〉

巫女としてのK  三木 卓

四十四年前の「君」へ  鹿島 茂

高校再訪  大島真寿美

プシキャットという男  中村和恵

〈私のベスト3〉

もう一度書きたいあのテーマ  津村記久子

壊れゆく船  宮下奈都

雨、三つ  由井鮎彦

〈書評〉

ポストモダンの掌篇集(『嵐のピクニック』本谷有希子)   筒井康隆

思い出を弔う場所(『最果てアーケード』小川洋子)   間宮 緑

美味しいものとゆったりした時間(『チマチマ記』長野まゆみ)   藤野千夜

心のなかの光と闇(『七夜物語』川上弘美)   松永美穂

世界で一つの剣筋で書かれた小説(『武曲』藤沢 周)  羽田圭介

〈創作合評〉

清水良典+円城 塔+柴崎友香

「朝がある」柴 幸男(群像2012年7月号)

「文字の消息」澤西祐典(すばる2012年7月号)

「もし、世界がうすいピンクいろだったら」墨谷 渉(群像2012年7月号)