三つの短篇 片岡義男「おでんの卵を半分こ」「と、彼女は言った」「だから靴は銀色だった」

三十歳の秋から作家として小説を書いてきた友納直樹は、ある日、高校時代の友人である河原裕司の元妻であり写真家の立花香代子に会いに行く。彼女の専らの関心は、自分のヌード写真を撮ることで……。(「おでんの卵を半分こ」

日本にたくさんいる作家のひとりである白瀬高広は、ハーフムーンというバーで、「裕子」を探しつづける。果たしてその理由は?(「と、彼女は言った」

俳優の稲葉明弘は、高校時代の友人で作家の森崎和也に電話を掛ける。「ちょうど飯どきだよ。これからそこへいくから、なにか食わせてくれ」――。森崎は、稲葉の熱烈なファンだという女性ライダーを呼んでいて……。(「だから靴は銀色だった」

片岡義男が作家を主人公に据え、小説という摩訶不思議な世界の謎を小説によって解く、意欲的な連作がスタートです。


短期集中連載 完結

小川洋子「琥珀のまたたき」

「魔犬の呪い」で妹を失ったオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだいは、ママの言いつけに従い、パパが作ったたくさんの図鑑に囲まれた別荘から、外に一歩も出ることなく暮らしていた。ところがその閉ざされた世界に、若いよろず屋がやって来るようになって……。小川洋子の短期集中連載「琥珀のまたたき」、堂々の完結です。


芥川賞受賞スピーチ 小野正嗣「与え、与え、なおも与え」

『九年前の祈り』で第152回芥川賞を受賞した小野正嗣の授賞式におけるスピーチを全文掲載。すぐれた作品は他者に「場所」を与え、「あなたが必要だ、存在が大切だ」と支え、励ましてくれる――。文学の本質にある「与える・受け取る」の関係性とは。芥川賞スピーチ「与え、与え、なおも与え」


異様な関係性を描く短篇

津村記久子「牢名主」

つけ込まれやすい私が「バーバラ・ウィリアムズ群」を自覚したのは、三十五歳のときだった――。「アドリアナ・スミス群」である友人との苦しい記憶からなかなか逃れられない「私」。あるとき街の広報誌で見つけた「B群」自助グループを訪ね……。津村記久子がすぐそばにある異様な関係性を描く短篇「牢名主」、必読です。


連作評論「小説の機能」第三回

武田将明「『パミラ』あるいは報われた名前」

若い主人のセクハラを伴った誘惑を拒み続けた十五歳の可愛らしいメイドを描いたリチャードソンの長篇『パミラ』。名前の固定化を回避しようとしている『ロビンソン・クルーソー』や『ガリヴァー旅行記』とはまた異なる、この作品の「名前の機能」とは? 武田将明の野心的な連作評論、第三回は「『パミラ』あるいは報われた名前」です。


〈短編集〉

3つの短篇  片岡義男

おでんの卵を半分こ/と、彼女は言った/だから靴は銀色だった

〈短篇〉

牢名主  津村記久子

〈短期集中連載完結150枚〉

琥珀のまたたき  小川洋子

〈連作短篇〉

漂白  川上弘美

〈中篇130枚〉

三十八度通り  酉島伝法

〈連作評論〉〔3〕

『パミラ』あるいは報われた名前  武田将明

〈『九年前の祈り』芥川賞受賞スピーチ〉

与え、与え、なおも与え  小野正嗣

〈追悼 河野多惠子〉

あの戦争を動員学徒として生きた女学生の死  林 京子

〈連載小説〉

オライオン飛行〔2〕  髙樹のぶ子

我々の恋愛〔5〕  いとうせいこう

尻尾と心臓〔9〕  伊井直行

虚人の星〔10〕  島田雅彦

ビビビ・ビ・バップ〔16〕  奥泉 光

〈連載評論〉

チェーホフとロシアの世紀末〔12〕  沼野充義

鬼子の歌 近現代日本音楽名作手帖〔15〕  片山杜秀

〈連載〉

現代短歌ノート〔61〕  穂村 弘

〈随筆〉

目と耳の変換  布施英利

犬飼いは社会化される  髙橋陽子

善き人々の受難  早助よう子

〈私のベスト3〉

本ぞ昔の香ににほひける  堂垣園江

採用こぼれ話  朝比奈あすか

必ず効果の出る最強英語学習法  清涼院流水

〈書評〉

2015年、私たちの物語(『パリ環状通り』パトリック・モディアノ 野村圭介訳)鹿島田真希

現代に届く『古事記』とは(『古事記』池澤夏樹訳)蜂飼 耳

死者の語る戦争(『指の骨』高橋弘希)木村朗子

〈創作合評〉

山城むつみ+長嶋 有+松田青子

「匿名芸術家」青木淳悟(群像2015年3月号)

「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介(文學界2015年3月号)

「メタパラの七・五人」筒井康隆(新潮2015年3月号)