「夫婦」への異和を描く中篇

本谷有希子「異類婚姻譚」

ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた――。他人同士が身内になる「夫婦」という不思議な形式。その異和を軽妙洒脱に描いた本谷有希子の挑戦作「異類婚姻譚」。三島由紀夫賞を受賞した『自分を好きになる方法』以来2年ぶりの力作がついに登場です。


新連載評論 熊野純彦「美と倫理とのはざまで」

哲学を読むことは一種の快楽である――。レヴィナス研究者として知られ、ハイデガーやベルクソンの訳書でも名を馳せる鬼才・熊野純彦が、回避し迂回するカントの思考を読みぬく連載評論「美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって」、スタートです。


鼎談 島田雅彦×片山杜秀×中島岳志

「安倍総理に捧げる小説」

二重スパイとお飾り首相を主人公に据え、現代日本の危機的状況を鋭く描いた島田雅彦の超ド級の問題作『虚人の星』。その刊行を記念し、片山杜秀中島岳志という二人の政治学者との鼎談を行いました。日本がのび太ならアメリカはジャイアンでなくドラえもん? 正統な保守とは果たしてどのような存在なのか? 「安倍総理に捧げる小説」、いま読んで欲しい必読の鼎談です。


清水良典「デビュー小説論」は町田康『くっすん大黒』

パンク歌手、詩人、俳優としてすでに知られていた町田康のデビュー作「くっすん大黒」。ナンセンスなボヤキと駄洒落が連発するこの作品を、当時の文芸界はどうとらえたのか? 清水良典の連作評論「デビュー小説論」、最終回は「はにかみパンク外道の生真面目――町田康『くっすん大黒』」です。


群像新人評論賞決定!

優秀作に荒木優太、高原到

大澤真幸熊野純彦鷲田清一を新たに選考委員に迎え、群像新人文学賞評論部門から独立した「群像新人評論賞」。当選作は出ませんでしたが、優秀作2作が選ばれました。荒木優太「反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ」高原到「ケセルの想像力」。新しい才能の誕生を、ぜひご確認ください。


〈中篇140枚〉

異類婚姻譚  本谷有希子

〈新連載評論〉

美と倫理とのはざまで カントの世界像をめぐって  熊野純彦

〈第59回群像新人評論賞発表〉

〈優秀作〉

反偶然の共生空間――愛と正義のジョン・ロールズ  荒木優太

ケセルの想像力  高原 到

受賞のことば

選評  大澤真幸 熊野純彦 鷲田清一

予選通過作品発表

〈鼎談〉

安倍総理に捧げる小説  島田雅彦×片山杜秀×中島岳志

〈連作評論〉〔最終回〕

はにかみパンク外道の生真面目――町田 康『くっすん大黒』  清水良典

〈連載小説〉

我々の恋愛 最終回  いとうせいこう

オライオン飛行〔9〕  髙樹のぶ子

尻尾と心臓〔16〕  伊井直行

ビビビ・ビ・バップ〔23〕  奥泉 光

〈連作小説〉

ホサナ〔12〕  町田 康

運命  川上弘美

〈連作批評〉

新・私小説論〔2〕  佐々木 敦

〈連載〉

モンテーニュの書斎〔2〕  保苅瑞穂

現代短歌ノート〔67〕  穂村 弘

〈随筆〉

『ルンタ』への長い旅  池谷 薫

やなせたかし先生の「秘密の恋」  小手鞠るい

膨らむ、伸びる、中世の夢  橘 明美

〈私のベスト3〉

およそ4×10n年の脳内逆変換  加藤総夫

サメと歩む人生  西田清徳

お手紙拝見  乗代雄介

〈書評〉

人間の複合アイデンティティーを描いた傑作(『虚人の星』島田雅彦)佐藤 優

姉と弟の神話(『Yの木』辻原 登)三浦雅士

思わず眼鏡をかけ直す(『繭』青山七恵)阿部公彦

クズ湯に肩までつかって(『呪文』星野智幸)酉島伝法

〈創作合評〉

春日武彦+清水良典+沼野充義

「モナドの領域」筒井康隆(新潮2015年10月号)

「幼なじみ」谷崎由依(群像2015年10月号)

「まるで砂糖菓子」乙川優三郎(群像2015年10月号)