第61回群像新人文学賞発表

当選作 北条裕子「美しい顔」

第61回群像新人文学賞が決定しました!

十七歳の私と幼い弟を残して母は行方知れずになった。マスコミの取材に協力するうち、私の内側で何かが変わっていく。未曾有の災厄に襲われた人間はどのように一歩を踏み出すのか――。選考委員激賞の驚異のデビュー作。北条裕子「美しい顔」


新連載

花村萬月「帝国の黄昏」

三億年前、パンゲアという巨大大陸を南北に貫きとおす壁に守られた帝国があった。その名はミスボラ。皇帝は憂う。臣民の八割が女のこの帝国で、自らには何ら実権はない──。鮮烈な想像力が爆発する花村萬月の新連載「帝国の黄昏」


中篇145枚

乗代雄介「生き方の問題」

これを読まなくちゃ――今まさに貴方が読み始めた、世にも珍しいエピグラフ付きの手紙――。憧れの従姉に手紙を綴る僕は、頼りない文字を媒介に一緒になりたいと願う。書くことでしか現実と戦えない青年の生を緊密な言葉で描く気鋭の意欲作。乗代雄介の中篇「生き方の問題」


評論

柄谷行人「私ではなく、風が──津島佑子の転回」

中上健次の死後、「稀有な同時代者」として存在感を増してきた津島佑子。『世界史の構造』と共通する津島文学のアクチュアルな全貌を明らかにする、思想家の原点である文芸批評。柄谷行人の評論「私ではなく、風が――津島佑子の転回」


リレーエッセイ「私と大江健三郎」最終回

星野智幸「政治小説の師」

現代文学の最前線を走り続けてきたノーベル賞作家の全集決定版「大江健三郎全小説」(全15巻)が2018年7月に刊行する。作家たちはこの巨人の文学をどのように受け止めてきたのか。リレーエッセイ「私と大健三郎」の最終回、星野智幸「政治小説の師」


〈第61回群像新人文学賞発表〉

〈当選作〉

美しい顔           北条裕子

受賞のことば

選評 青山七恵 高橋源一郎 多和田葉子        辻原 登 野崎 歓

〈新連載〉

帝国の黄昏          花村萬月

〈中篇145枚〉

生き方の問題         乗代雄介

〈評論〉

私ではなく、風が

 ──津島佑子の転回     柄谷行人

〈連作〉

花の咲く頃には        古井由吉

〈リレーエッセイ「私と大江健三郎」最終回〉

政治小説の師         星野智幸

〈連載〉

御社のチャラ男〔2〕  絲山秋子

おおきな森〔6〕  古川日出男

人外(にんがい)〔7〕  松浦寿輝

二月のつぎに七月が〔14〕  堀江敏幸

ブロークン・ブリテンに聞け〔4〕 ブレイディみかこ

レンマ学〔5〕  中沢新一

出雲神話論〔9〕  三浦佑之

人間とは何か                  ──フランス文学による感情教育──〔11〕中条省平

たましいを旅するひと──河合隼雄〔16〕 若松英輔

〈世界史〉の哲学〔104〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔97〕  穂村 弘

〈随筆〉

職業と肩書き  鳥飼玖美子

インパールで日本映画を観る  小野正嗣

ボクシングジム  戌井昭人

ころがるコロちゃんのおと  いしいしんじ

喰欲の人  入江敦彦

少年ボフシュの見た風景  出久根 育

湯たんぽ、ふたつ  小山内恵美子

〈書評〉

仲間といっしょにさあ出発。            母語の向こうへ大冒険!             (『地球にちりばめられて』多和田葉子)中島京子

未知なる記憶を作り出す           (『『スタア誕生』』金井美恵子)    仙田 学

記憶の箱が開くとき             (『ウィステリアと三人の女たち』川上未映子)                      松永美穂

ゆるやかな肯定の力(『庭』小山田浩子)倉本さおり

〈創作合評〉

富岡幸一郎×諏訪哲史×朝比奈あすか

「地球星人」村田沙耶香(新潮2018年5月号)

「送り火」高橋弘希(文學界2018年5月号)

「サーラレーオ」新庄 耕(群像2018年5月号)