群像2019年8月号

連作スタート130枚

松浦理英子「ヒカリ文集」

厳寒の夜、一人の演出家が横死した。「あの子にとらわれすぎたのかな――」劇団員たちの誰もが愛した女性を描く、現代の”マノン・レスコー”。待望の新連載がスタート、初回130枚、松浦理英子「ヒカリ文集」


ルシア・ベルリン作品集刊行記念対談

川上未映子×岸本佐知子「ルシア・ベルリン、かけがえのないボイス」

死後十年を経て「再発見」された作家ルシア・ベルリン。波瀾万丈の人生をもとに紡がれた作品には、不滅のエネルギーとポエジーがあった――。稀代の作家と翻訳家がルシア・ベルリンの魅力に迫る。川上未映子×岸本佐知子の対談「ルシア・ベルリン、かけがえのないボイス」。『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』より、ルシア・ベルリン「どうにもならない」「ママ」「さあ土曜日だ」も特別掲載。


新連載評論 四方田犬彦「愚行の賦」

人類は「愚かさ」とともにあったーー古代から現代まで連綿と続く「愚行」をめぐる作家たちの思索を振り返り、新しい光を投げかけるクリティーク。四方田犬彦の新連載評論「愚行の賦」


ルポ いとうせいこう「続・「国境なき医師団」を見に行く 日本編」

世界各地で「国境なき医師団」に同行してきた著者にも知らないことはまだまだあった! 日本人初の活動責任者に直撃だ。いとうせいこうのルポ「続・「国境なき医師団」を見に行く 日本編」


連載完結 絲山秋子「御社のチャラ男」

朝から、社内は騒然としていた。「会見始まりますよ」。一色素子が言った――。絲山秋子の連載「御社のチャラ男」が完結


もくじ

〈連作スタート130枚〉

ヒカリ文集 松浦理英子

〈ルシア・ベルリン作品集刊行記念対談〉

ルシア・ベルリン  川上未映子×岸本佐知子

〈翻訳〉

『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』より

どうにもならない

ママ

さあ土曜日だ  ルシア・ベルリン

〈新連載評論〉

愚行の賦  四方田犬彦

〈ルポ〉

続・「国境なき医師団」を見に行く 日本編

〈連載完結〉

御社のチャラ男〔16〕  絲山秋子

〈連載〉

その日まで〔11〕  瀬戸内寂聴

星に仄めかされて〔8〕  多和田葉子

チーム・オベリベリ〔9〕  乃南アサ

鉄の胡蝶は夢に記憶は歳月の彫るか〔13〕  保坂和志

帝国の黄昏〔13〕  花村萬月

おおきな森〔20〕   古川日出男

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔18〕ブレイディみかこ

全体論と有限 ーひとつの「小説」論ー〔9〕 佐々木 敦

出雲神話論〔23〕  三浦佑之

人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔25〕   中条省平

〈世界史〉の哲学〔117〕  大澤真幸

現代短歌ノート〔111〕  穂村 弘

〈随筆〉   

昭和のファミコンと欲望の行方  津村紀久子

声と話す  松原俊太郎

さびしいオジサンたち  ハルノ宵子

憧憬、その先の話  古市憲寿

〈書評〉

くもりなき目で世界と出あう旅(『彼女たちの場合は』江國香織)  江南亜美子

いくつもの「不」を織り込んで(『チャイムが鳴った』日和聡子)  平田俊子  

作家と読者のクロスカウンター(『ひよこ太陽』田中慎弥)  佐藤康智

純度の高い迷宮(『アタラクシア』金原ひとみ)  小野美由紀

〈創作合評〉 

藤野千夜×大澤 聡×矢野利裕

「乱気流」砂川文次(「文學界」2019年7月号)

「ラップ 最後の旅」芳川泰久(「文學界」2019年7月号)

「覚えていること」黒川 創 (「新潮」2019年7月号)