長嶋有の20年【創作】長嶋 有【批評】江南亜美子【インタビュー】聞き手・北村浩子

巻頭は〈長嶋有の20年〉。デビュー20年を迎えた長嶋さんに150枚の書き下ろし小説「ルーティーンズ」を、江南亜美子さんには批評「近代小説の枠組とはべつの仕方で 長嶋有論」を、インタビュー「タイヤと泡とハットリくん」では北村浩子さんに聞き手をお願いし、これまでの歩みをたどっています。

・巻頭一挙掲載
「あなたにオススメの」 本谷有希子
「推子のデフォルト」……〈等質〉になれない子を抱えたママ友の悩みは、推子にとって最高のコンテンツだった。
「マイイベント」……巨大台風が近づきつつある川沿いのマンションで、渇幸はわくわくを抑えきれない。
・読み切り
「こんにちは赤ちゃん」 小林エリカ

【初夏短篇饗宴】川上弘美 田中兆子 沼田真佑 藤野可織 町田 康【中篇】砂川文次

「おれ、コロナにかかったかも」。検査を受けたというカズの電話の声は低く、耳に入りにくかった。(川上弘美「不眠症の伯爵のために」)

シュウがなんとなく作った金属のオブジェ。妻のリナの怒りを買ったことで、自分のある思いの存在に気づく。(田中兆子「イオンと鉄」)

東京に出張した作家の木山は、たまたま遭遇した知人から原稿を頼まれる。(沼田真佑「ブラスト」)

いつものコンビニと隣のビルの隙間に、大量のビニール傘が投棄してあった。(藤野可織「消滅」)

神武天皇が天下を治める日本最古の英雄譚。町田古事記・「日本建国神話」。(町田 康「日本統一」)

なぜ、止められないのだろう。サクマの怒りは白く爆ぜ、幾度となく暴発する。(砂川文次「ブラックボックス」)

・短期集中連作
「ケアの倫理とエンパワメント オスカー・ワイルドの越境するケア――三島由紀夫、多和田葉子の全人類的視点」 小川公代
・連載完結
「ショットとは何か」 蓮實重彦
・読み切り
「人間―でないもの」 樫村晴香

【短期集中新連載】橋本倫史「水納島再訪」

沖縄県北西部の小さな島で、六日間の滞在中に聞き知った島の歴史や流れてきた時間を書き記す。三号連続集中連載、橋本倫史「水納島再訪」

2020年のジョン・レノン
「1962年のハンバーガー」 片岡義男
「星の歌」 高橋久美子
「アミラル」 向井康介

小特集「ケア」【新連載】小川公代【批評】堀越英美 惠 愛由【article】白石正明に聞く

【野間文芸賞・野間文芸新人賞発表】

今月は「ケア」についての小特集を組みました。本誌で「ケアの倫理とエンパワメント」(単行本8月刊行予定)を集中連載した小川公代さんの新連載「ケアする惑星」がスタート。批評は堀越英美さん「自閉症の女の子が見る・読む・触れる世界」と、惠愛由さん「無防備さのおくりもの 『最初の悪い男』にみるあたらしい共同性」。「article」では、医学書院「シリーズ ケアをひらく」を長年編集してきた白石正明さんにお話を伺いました(聞き手・丸尾宗一郎さん)。19人のエッセイアンケート「自分をケアする料理」からは、食という生活になじんだケアの断面が見いだせます。


【批評】宮澤隆義【文芸文庫通信拡大版】多和田葉子 鴻巣友季子

宮澤隆義さんの批評「大江健三郎のquarantine」では、パンデミックによって露わにされた統治される「群れ」としての「民衆」を、大江とブレヒトの読解を通して捉え返します。

「文芸文庫通信」、今回は拡大版です。7月刊『溶ける街 透ける路』から、多和田葉子さんのあとがきと鴻巣友季子さんの解説を掲載。

【論点】
「その警官、友人につき」 阿部大樹
「私たちは行列する——2020年アメリカ大統領選挙を見つめて」 シェリーめぐみ
「本当なのは一瞬だった」 ジョン・フリーマン 小澤身和子訳
「日本の「自粛警察」とファシズム——ドイツとの比較から考える」 田野大輔
「コミュニケーション的暴力としての、意味の占有」 三木那由他

〈長嶋有の20年〉

〈創作〉

ルーティーンズ  長嶋 有

〈批評〉

近代小説の枠組とはべつの仕方で 長嶋有論  江南亜美子

〈インタビュー〉

タイヤと泡とハットリくん  聞き手・北村浩子

〈短期集中新連載〉

水納島再訪  橋本倫史

「読む」ことで巡り会いながら、通り過ぎたものと再び向き合うために――自らの生涯をたどり直す。
【創作】
「夜中目が覚めた時に必ず考える」 川上弘美
「桃息吐息」 いしいしんじ
【震災後の世界10先行掲載】
「国家・ゼロエフ・浄土」 古川日出男
【小特集 第三の新人】
・創作 「あかるい場所」 江國香織
・エッセイ 「山の上の家のまわり」 島田潤一郎
・批評 「日常の再発見に向けて――「第三の新人」を読むために」 山本貴光
・アンケート 「いま読みたい第三の新人作品」 石倉真帆/石田千/大前粟生/小川哲/河﨑秋子/木村紅美/郡司ベギオ幸夫/高橋弘希/高山羽根子/乗代雄介/三国美千子/水原涼
【チェルフィッチュ群像公演】
・創作 「消しゴム式」 チェルフィッチュ/岡田利規
・解説 「「消しゴム式」への道」 岡田利規
・エッセイ 「消しゴムを最後まで使い切ったことがない」 金氏徹平
・批評 「エコロジカル・クライシスにおける「共鳴の領域」の探究」 篠原雅武
【批評・ノンフィクション】
・新連載 「旋回する人類学」 松村圭一郎
・最終回 「非人間」 大澤信亮 「ケアの倫理とエンパワメント」 小川公代
・読み切り 「フェミニズム小説としての津島佑子――『笑いオオカミ』『ナラ・レポート』を読む 木村朗子
・連作 「大江健三郎と「晩年の仕事」」 工藤庸子 「2011―2021 視えない線の上で」 石戸諭
・対談 「批評のマテリアリズム」 安藤礼二×佐々木敦
【古井由吉一周忌】
「競馬場の人」 高橋源一郎
「こんな日もある 競馬徒然草」 古井由吉
「過渡期の書――『東京物語考』考」 蜂飼耳
「ひじりの庭」 築地正明
【映画公開記念対談】
「小説『身分帳』から映画『すばらしき世界』へ」 西川美和×六角精児
【コラボ連載】
「DIG 現代新書クラシックス」 荒井裕樹「アフター・コロナの優生思想」
【追悼半藤一利】
「戦後の精神」 保阪正康
「現代日本の墨家たらんとした人」 井上亮見えない道標 若松英【小特集「旅」】

〈初夏短篇饗宴〉

不眠症の伯爵のために  川上弘美

イオンと鉄  田中兆子

ブラスト  沼田真佑

消滅  藤野可織

日本統一  町田 康

【小特集「ケア」】

〈新連載〉

ケアする惑星  小川公代

〈批評〉

自閉症の女の子が見る・読む・触れる世界  堀越英美

無防備さのおくりもの 『最初の悪い男』にみるあたらしい共同性  惠 愛由

〈article〉

ケアが語られる土壌を耕す 編集者・白石正明に聞く  丸尾宗一郎

〈エッセイアンケート〉

自分をケアする料理

稲田俊輔/上間陽子/植本一子/大橋未歩/小川さやか/小田原のどか/角田光代/梶谷いこ/くどうれいん/郡司ペギオ幸夫/関口涼子/園 健/高山なおみ/猫沢エミ/パリッコ/平野紗季子/平松洋子/古川日出男/宮内悠介

〈創作〉

ブラックボックス  砂川文次

〈批評〉 

大江健三郎のquarantine  宮澤隆義

〈文芸文庫通信拡大版〉 

作者から文庫読者のみなさんへ  多和田葉子

言葉の峡谷に留まる詩人  鴻巣友季子

〈レポ漫画〉

100分de名言を求めて〔3〕  増村十七

〈コラボ連載〉

DIG 現代新書クラシックス〔8〕カント原理、ライプニッツ原理から、デカルト=メイヤスー原理へ  飯盛元章

〈連載〉

見えない道標〔6〕  若松英輔

戒厳〔9〕  四方田犬彦

はぐれんぼう〔13〕  青山七恵

ゴッホの犬と耳とひまわり〔19〕  長野まゆみ

鉄の胡蝶は歳月に夢は記憶は彫るか〔36〕  保坂和志

二月のつぎに七月が〔37〕  堀江敏幸

世界と私のA to Z〔4〕  竹田ダニエル

言葉の展望台〔4〕  三木那由他

スマートな悪 技術と暴力について〔5〕  戸谷洋志

こんな日もある 競馬徒然草〔6〕  古井由吉

旋回する人類学〔6〕  松村圭一郎

ポエトリー・ドッグス〔7〕  斉藤 倫  

現代短歌ノート二冊目〔11〕  穂村 弘

日日是目分量〔12〕  くどうれいん  

薄れゆく境界線 現代アメリカ小説探訪〔15〕  諏訪部浩一

歴史の屑拾い〔16〕  藤原辰史

「近過去」としての平成〔17〕  武田砂鉄

「ヤッター」の雰囲気〔17〕  星野概念

星占い的思考〔17〕  石井ゆかり

辺境図書館〔18〕  皆川博子

国家と批評〔16〕  大澤 聡

〈世界史〉の哲学〔134〕  大澤真幸

文芸文庫の風景〔8〕  六角堂DADA

極私的雑誌デザイン考〔19〕  川名 潤

〈随筆〉

ロイヤルストレートフラッシュ  尾崎世界観

ただ存在するだけ運動  永井玲衣

二人で営む本屋  小野菜都美

〈書評〉

『げんじものがたり』いしいしんじ  日和聡子

『カード師』中村文則  亀山郁夫

『長い一日』滝口悠生  山﨑健太