群像2011年9月号

いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う

川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」

川上未映子が贈る初めての“恋愛小説”「すべて真夜中の恋人たち」。ただ当たり前のように孤独を生きてきたわたしが、初めて人を好きになった。34歳の夏だった――。『ヘヴン』以来2年ぶりとなる衝撃の長篇450枚を一挙掲載!


崩壊と構築が同居する怪作

鹿島田真希「来たれ、野球部」後編

野球部のエースで新入生総代の喜多義孝と、幼なじみの宮村奈緒。二人の恋の結末は……?崩壊と構築が同居する、鹿島田真希の怪作「来たれ、野球部」堂々完結!


待望の新連載!

星野智幸「夜は終わらない」

ある男の死の参考人として警察に呼ばれた一人の女。二度と戻れぬ道を歩き出した玲緒奈の行き着く先は――。『俺俺』で第5回大江健三郎賞を受賞した星野智幸、待望の新連載です。


戦後文学を読む

第6弾は石原吉郎

これまで取り上げた作家は野間宏、武田泰淳、椎名麟三、梅崎春生、大岡昇平。大好評企画「戦後文学を読む」第6回は 石原吉郎です。

「沈黙の詩人」の詩3編とエッセイ「ペシミストの勇気について」を再録。8年に及ぶシベリア抑留を経て書かれた、壮絶かつ静謐な言葉たちを、奥泉 光、山城むつみ、川上未映子が新たに読み解きます。

佐藤友哉の連作小説は「凶作合評(後編)」。三十歳を迎え、青春汁の埋蔵量はゼロ。作家に、小説に、変化は訪れるのか?


もくじ

〈創作〉

すべて真夜中の恋人たち  川上未映子

来たれ、野球部(後編)  鹿島田真希

〈新連載〉

夜は終わらない〔1〕  星野智幸

〈特集 戦後文学を読む〔6〕石原吉郎〉

〈合評〉「ペシミストの勇気について」「棒をのんだ話」  奥泉 光×山城むつみ×川上未映子

〈再録〉「さびしいと いま」「待つ」「泣いてわたる橋」「ペシミストの勇気について」

〈小説〉凶作合評(後編)  佐藤友哉

〈連載小説〉

雲をつかむ話〔8〕  多和田葉子

燃える家〔11〕  田中慎弥

昼田とハッコウ〔19〕  山崎ナオコーラ

未明の闘争〔23〕  保坂和志

〈連載評論〉

安部公房を読む〔9〕  苅部 直

〈世界史〉の哲学〔31〕  大澤真幸

〈連載〉

会社員小説をめぐって〔15〕  伊井直行

現代短歌ノート〔18〕  穂村 弘

「生」の日ばかり〔30〕  秋山 駿

映画時評〔33〕  蓮實重彦

〈随筆〉

もうくら  藤野千夜

筆のこと  平田俊子

停電の暗闇と明かり  大森兄弟

あらゆる意味で、車に注意  宇野常寛

〈私のベスト3〉

スポーツの名場面  堂場瞬一

放浪の自由律俳人、尾崎放哉の三句  彌榮浩樹

アイスクリームの思い出  石川公彌子

〈書評〉

戦争文学が問いかけるもの(『コレクション「戦争と文学」』)  池田雄一

美しくゆがんだ世界(『デカルコマニア』長野まゆみ)  江南亜美子

核を書く(『戦争へ、文学へ』陣野俊史)  都甲幸治

いい女とめくるめく読書(『いい女 vs.いい女』木下古栗)  津村記久子

〈創作合評〉

沼野充義+陣野俊史+中島京子

「塔の中の女」間宮 緑(群像2011年8月号)

「残された者たち」小野正嗣(すばる2011年8月号)