第55回群像新人文学賞には1734(小説1618・評論116)篇の応募があり、

阿部和重、安藤礼二、絲山秋子、奥泉光、松浦寿輝の5氏による

選考の結果、下記のように決定いたしました。

受賞作と受賞の言葉、選評は群像2012年6月号をお読み下さい。

 

【小説部門 当選作】
「架空列車」
岡本 学(おかもとまなぶ)

1972年東京都生まれ。

埼玉県在住。

岡本 学   受賞のことば

Q:小説を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?

A:3年前くらいから急に爆発的に小説が書けるようになった。この不思議な変化の謎についてはいつかきちんと書いてみたいと思っている。

Q:群像新人文学賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?

A:「W村上以後」世代の僕としてはあこがれの賞でした。

Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。

A:もともと「自分に閉じた世界を構築する」という話が好きで「架空列車」のアイディアはもともと自分の中にあった。しかし物語上なかなかそれを崩壊させるきっかけがなかった。

Q:どういう時間に執筆していますか? どんなときにアイディアが浮かびますか?

A:通勤が長く片道3時間もあるので実は執筆はすべて電車の中。構想もアイディアもすべて列車の安全な運行のおかげです。

Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。

A:吉行淳之介にあこがれ、村上春樹を手本とし、ヘミングウェイに学び、椎名誠を心の師匠とする。特にヘミングウェイの「日はまた昇る」が一番好きで何度も読んだ。

Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。

A:「書くことによってのみ、書けるようになる」、悲しい事実ですがこれを受け止めてがんばるしかないようです。


【小説部門 優秀作】
「泡をたたき割る人魚は」
片瀬チヲル(かたせちをる)

1990年北海道生まれ。

神奈川県在住。

片瀬チヲル   受賞のことば

Q:小説を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?

A:小学生のころから日記帳を小説ノートにしてヘンテコな物語を書いていましたが、小説家になることを意識して書き始めたのは16才の頃です。

口下手だったので、自分のしゃべる言葉はどれも嘘で、物語にだけ本当のことが紛れてるんだ、と強く思い込んでしまったのがきっかけだったと思います。

Q:群像新人文学賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?

A:前回、二次まで通ったので次はそれより上に行きたい、と奮起したことと、十月末が締切だったので春~夏休み期間をつかってじっくり執筆できるとたくらんだからです。

Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。

A:私のまわりを含めて世の中から恋愛の色が薄れていっているような気がしたからです。王子を愛した末に人間になり、泡となって消えた人魚姫の気持ちは、この先共感されないものになっていくのかもしれない、だとしたら、その逆を書いてみたい、と思ってプロットを練りはじめました。

魚や海が好きでそれをモチーフに作品を書くことが多いのですが、今回はただの小道具としてではなく、丁寧に魚や海を描写することで世界を一つ作ってみたかったんです。

Q:どういう時間に執筆していますか? どんなときにアイディアが浮かびますか?

A:昼夜関係なく書きたいときに書いています。アイディアは、授業中や人ごみの中でぽつねんとしている時、木曜日に浮かぶことが多いです。

Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。

A:山田詠美さん、金原ひとみさん、吉村萬壱さん、星野智幸さん、村田沙耶香さんの作品が好きです。

元気のでない時はラフィク・シャミの『夜の語り部』を読み返します。

Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。

A:書くことに結びつくものはないか、いつも探しながら生活しています。

常にアンテナをはって、駄作を何作連発しようとめげずに書き続けることが先に繋がっていくのではないかと思います。


【小説部門 優秀作】
「グッバイ、こおろぎ君。」
藤崎和男(ふじさきかずお)

1938年福岡県生まれ。

神奈川県在住。

藤崎和男   受賞のことば

Q:小説を書き始めたのはいつ、どのようなきっかけでですか?

A:塾の仕事をやめた65歳から。でもずーっと前から「書かなくちゃ」と、それなりの準備をして生きていました。

Q:群像新人文学賞に応募しようと思ったきっかけは何ですか?

A:特にはありません。強いて言えば、群像という言葉が持っている、時代感覚から“少し”はずれた響きに惹かれて――ですかね。

Q:受賞作を書いたきっかけ、この題材を選んだ理由を教えてください。

A:コオロギの生きようを身近かに見ているうちに、人間より人間らしい所があるように、思えてきたからです。

Q:どういう時間に執筆していますか? どんなときにアイディアが浮かびますか?

A:当時は体調がよくなく、1日1~2時間が精いっぱい。でも“毎日”、あーでもない・こーでもないと書き続けているうちに、アイディアが浮かぶことがありました。

Q:好きな本(小説、評論)、好きな書き手(作家、評論家)を教えてください。

A:石牟礼道子の「苦海浄土」と一連の作品。横田正平の「玉砕しなかった兵士の手記」日本の兵隊さんがどのように死んでいったかを、生きて帰った元兵士がありのまま伝えている。東峰夫「オキナワの少年」東さん、あなたのファンが20年以上も次の作品を待ってますよ。夏目漱石の「草枕」と「坑夫」。

Q:これから群像新人賞に応募する人へメッセージをお願いいたします。

A:えーっマジ“新人”賞かよ!? などと大笑いしないでください。70歳の花嫁だって厚化粧すりゃ、見られんこともないだろう! でもみなさん、新人賞は早くもらってください。


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  受賞のことば

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  受賞のことば