鎮魂と希望の物語

林 京子「再びルイへ。」

ある日、テレビに映る役人の口から飛び出した、「内部被爆」という言葉。それはわたしが被爆したとき、決して公人が認めなかった単語だ――。かつて長崎で被爆した著者が語る、福島の原発事故。迷いと戸惑いを抱えつつ、著者は代々木公園へ向かう。思いの丈を吐き出すために。新しい出発のために。林京子「再びルイへ。」、必読です。


連作スタート! 片岡義男「タリーズで座っていよう」

髪が長く中性的な雰囲気の翻訳家・西野晴彦は、女物の服を好み、いつもタリーズでコーヒーを飲む。編集者と打ち合わせするときも、建て替えの相談のあとも、母が亡くなった日も、彼は同じようにショートサイズのコーヒーを飲んだ。記憶と言葉、男と女を描く、片岡義男の魅惑の連作。第一話は、「タリーズで座っていよう」


超絶技巧の新連載! いとうせいこう「存在しない小説」

フィラデルフィアの片隅で、ひとりの冴えない男が町一番の美女と結婚した。キューピッド役をつとめたのは、花嫁の弟である冒険家アーキー。二人の間に生まれたジュリー・グリエコは、この天真爛漫な叔父を慕っていたが……。田舎町から名門大学に進学した少年に訪れた転落とは。いとうせいこうが造り上げる、作家も訳者もいない「世界文学」。超絶技巧の新連載「存在しない小説」、ご堪能下さい。


新連作批評 佐々木 敦「新しい小説のために」

今こそ真っ向から「新しい小説」を問う蛮気を! 「小説」のモードの更新が停まっている今。「小説」が読まれていない今。我々は「新しい小説」のために何をすべきなのか? ふたつの「リアル」から、一歩を踏み出そう。佐々木敦が文学の本質と現在にせまる刺激的論考「新しい小説のために」、開始です。


 新たな才能の華麗なる競演 新鋭9人短篇競作

今村友紀岡本学小山田浩子片瀬チヲル澤西祐典滝口悠生千早茜橋口いくよ藤崎和男――新進気鋭の9人が、30枚という定められた枠で華麗に競演。これからの文学をになう若手作家たちの気迫溢れる短篇。


〈創作〉

再びルイへ。  林 京子

〈3つの連作〔1〕〉

タリーズで座っていよう  片岡義男

〈新連載〉

存在しない小説  いとうせいこう

〈新連作評論〉

新しい小説のために  佐々木 敦

〈新鋭9人短篇競作〉

バスチオン公園の馬鹿たち  今村友紀

高田山は、勝った  岡本 学

うらぎゅう  小山田浩子

コメコビト  片瀬チヲル

砂糖で満ちてゆく  澤西祐典

かまち  滝口悠生

縛す  千早 茜

芸能人気取り  橋口いくよ

負けて悔いあり我が闘争  藤崎和男

〈連作小説〉流砂〔3〕

天袋の奥  黒井千次

〈翻訳小説〉

楽しい夜 ジェームズ・ソルター 岸本佐知子・訳

〈追悼 安岡章太郎〉

あの頃の安岡さん  坂上 弘

安岡さんと小林さん  三浦雅士

対話の記憶  リービ英雄

平成の『流離譚』  富岡幸一郎

私は安岡章太郎の影響を受けているかもしれない  坪内祐三

〈連載小説〉

パノララ〔2〕  柴崎友香

寂しい丘で狩りをする〔4〕  辻原 登

三陸の海〔6〕  津村節子

地上生活者 第五部 邂逅と思索〔14〕   李 恢成

晩年様式集(イン・レイト・スタイル)〔14〕  大江健三郎

燃える家〔30〕   田中慎弥

未明の闘争〔42〕   保坂和志

〈連載評論〉

皇后考〔7〕  原 武史

〈世界史〉の哲学〔49〕   大澤真幸

〈連載〉

創作の極意と掟〔4〕  筒井康隆

現代短歌ノート〔37〕   穂村 弘

「生」の日ばかり〔49〕   秋山 駿

映画時評〔52〕   蓮實重彦

〈随筆〉

福島、冬ざれの街で  長田弘

「秘密」の秘密  髙橋秀実

気になる広告について  白岩 玄

昔の恋人  吉原真里

〈私のベスト3〉

ともに過ごす  日和聡子

不器用上等! 魅惑の四回転ジャンパー  木原音瀬

私だけのスイッチ愛  NHK_PR1号

〈書評〉

現代日本の限りなく不運な「異邦人」(『冬の旅』辻原 登)   関川夏央

風俗小説と批判精神(『傾国子女』島田雅彦)   陣野俊史

多機能携帯電話的なもの(『三姉妹とその友達』福永 信)   藤野可織

語り得ぬものを語る声(『獅子渡り鼻』小野正嗣)  鴻巣友季子

〈創作合評〉

野崎 歓+町田 康+片山杜秀

「快楽」青山七恵(群像2013年3月号)

「スナックちどり」よしもとばなな(文學界2013年3月号)