群像2019年3月号

創作180枚 

宮下 遼「青痣」

お母さんは、伝説の煙草を見つけられたのだろうか? 遠い夏の日、幼いトウコは必死に母の物語を追いかける――。宮下遼の創作「青痣」


創作150枚

米田夕歌里「本当の先生」

信頼している人に傷つけられた「あの日」から、わたしは熱心な先生を演じるようになった――。人を知るとはどういうことなのかを問う意欲作。米田夕歌里の創作「本当の先生」


短篇 

小山田浩子「ねこねこ」

公園の植えこみから飛び出してきた猫、夫の実家で赤黒い糞を落とす鳥。日常の中に潜む違和感を濃密な文章で描き出す。小山田浩子の短篇「ねこねこ」


特別対談 

平野啓一郎×上田岳弘「変容する世界をどう描くか」

テクノロジーの発展した現実を前提にしたとき、小説は何を描きうるのか。フィクションをめぐる刺激的対話。『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘と、『ある男』が話題の平野啓一郎による特別対談「変容する世界をどう描くか」


特別対談

大澤真幸×國分功一郎「自由・中動態・責任」

〈自由〉はいかにして可能なのか。当代きっての社会学者と哲学者の対話によって、そのあたらしい姿が明らかになる。『〈自由〉の条件』が文庫になった大澤真幸と『中動態の世界』が話題の國分功一郎の特別対談「自由・中動態・責任」


もくじ

〈創作〉

青痣  宮下 遼

〈創作〉

本当の先生  米田夕歌里

〈短篇〉

ねこねこ  小山田浩子

〈特別対談)

変容する世界をどう描くか  平野啓一郎×上田岳弘

〈特別対談〉

自由・中動態・責任  大澤真幸×國分功一郎

〈連作完結〉

ピエタとトランジ〈完全版〉〔12〕  藤野可織

〈連載〉

その日まで〔7〕  瀬戸内寂聴

湘南夫人〔8〕  石原慎太郎

星に仄めかされて〔3〕  多和田葉子

チーム・オベリベリ〔4〕  乃南アサ

鉄の胡蝶は記憶の夢は歳月を彫るか〔8〕  保坂和志

御社のチャラ男〔11〕   絲山秋子

帝国の黄昏〔9〕  花村萬月

おおきな森〔15〕   古川日出男

二月のつぎに七月が〔21〕  堀江敏幸

ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain〔13〕ブレイディみかこ

全体論と有限 ーひとつの「小説」論ー〔4〕 佐々木 敦

出雲神話論〔18〕  三浦佑之

人間とは何か──フランス文学による感情教育──〔20〕   中条省平

現代短歌ノート〔106〕  穂村 弘

〈随筆〉   

原音景  田中 純

ガルシア=マルケスとセルバンテス  木村榮一

トカゲのしっぽ  砂川文次

マルケス・ガブリエルと井筒俊彦  小野純一

〈書評〉

そのかりそめの心(『この道』古井由吉)  松浦寿輝

清麗なサファイア風の惑星(『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』長野まゆみ)  清水良典

功利主義のオルタナティヴを求めて(『ニムロッド』上田岳弘)  江南亜美子

鬼子の偏愛する交響曲・オペラ(『鬼子の歌 偏愛音楽的日本近現代史』片山杜秀)  細川周平

ミッチェルの文体の妙技に迫る(『謎解き『風と共に去りぬ』』鴻巣友季子)  小川公代

〈創作合評〉 

松浦理英子×鴻巣友季子×苅部 直

「車軸」小佐野 彈(すばる2019年2月号)

「西の蔵の声」リービ英雄(群像2019年2月号)

「憧れの世界」青木淳悟(文學界2019年2月号)